力強いから無農薬で育つんだ
ヤーコン
千葉県香取郡多古町 宮内 わたる さん
◆栽培をはじめて30年になります
多古町の大ベテラン農家である宮内さんの畑に行ってきました。ちょうどヤーコンを掘っているところでした。ヤーコンは生で食べるとシャキシャキとした食感がまるで梨やリンゴのよう!美味しくて腸内環境も整えてくれる、ミレーおすすめの野菜です!
———すごく立派なヤーコンですね〜。でも掘るのが大変そうですね。
「ヤーコンはさつま芋のように根っこが芋になるので、まずは人間の背の高さくらい伸びた木の部分をカットして、地面の周りを掘ってから芋の部分を掘るんだよ。今はさすがに機械で掘ってるけど3年前まではこれを全部手で掘っていたんだよ」
———今では宮内さんと言えばすぐにヤーコンが浮かんできますが、いつから作っているのですか?
「そうだね〜。もう30年になるかな。近くの農家の集まりの時、ヤーコンを持って来た人がいて食べたら美味しかったんだ。それでみんな珍しがって作り始めたんだよ」
——— 30年前からなんて、随分早くから栽培されていたんですね
「日本に入ってきたのが昭和の終わりだから、かなり長いこと作っているね。でも最初はヤーコンを知っている人がほとんどいなくて、全然売れなかったよ。最近、やっとヤーコンの良さがわかって人気が出てきたけど、まだまだ知らない人もいるよね」
そうなんです。ヤーコンが野菜売り場に並んでいても外見は古くなったさつま芋?のように見えるので、残念ながら知らない人はなかなか手に取ろうとはしません。でも健康志向の人には大人気のキク科の野菜なんですよ!
◆栄養の源は強靭な生命力
———ヤーコンは栄養面でも優れている野菜ですよね。
「そうなんですよ。ヤーコンにはでんぷん質が全く含まれてなくてフラクオリゴ糖が野菜の中で最も多いんです。腸内環境を整えてくれるんですよ。それに食物繊維も豊富だし、ポリフェノールも含まれているのでガンの予防効果も期待されているし、葉っぱにも血糖値を下げてくれる効果があるそうで、一時期は葉っぱをヤーコン茶にしていたこともあります。そんなことを昔から茨城大学の先生が研究していてね、うちもヤーコン協会に入って一緒に勉強させてもらったりしましたよ」
———ヤーコンを作るのは大変ですか?
「そんなことはないよ。ほとんど肥料はいらないし病気にも強いし、虫もつきにくいから、育てやすい野菜だと思うよ。うちは無農薬・無化学肥料でやっているから自然と作る野菜もヤーコンやかぼちゃ、冬瓜やターサイのような、丈夫で育てやすいものが多くなっちゃうなあ」
———ヤーコンはいつ頃植えて、いつ頃収穫するのでしょうか?
「3月頃に種になる芋の部分をそのまま植えるんだよ。畑には時々有機肥料を撒いているので、それが土の成分の中に残っているんだろうね。だからヤーコンを植える時はほとんど何も入れないんだよ。収穫は霜が何度か降りた頃。だから12月になってしまうね。随分長い間、大きな木が畑を占領しているんだよ。全部掘った後、貯蔵用のヤーコンは畑に大きなムロを掘って土の中に入れておくんだよ。これがちょっと大変な作業かな」
———肥料がほとんどなくても育つというのはすごいですね。
「原産国がアンデスだから痩せた土地でも育つもともと丈夫な野菜なんだろうね。逆に肥料を与えすぎると木ばかり背が伸びてしまって芋の部分が小さくなってしまうんだよ」
宮内さんはお元気なのでヤーコンの収穫から貯蔵まで、大変な作業をご自身で全てやっていらっしゃるのですが、お年を聞いてびっくり!なんとご夫婦そろって80歳!現役でず〜っと農業を続けていらっしゃる本当に大ベテランなんです!
◆野菜を食べていつまでも元気に
———ヤーコンを食べているのでそんなにお元気なのでしょうか?
「そうかもしれないねえ(笑)。それに何より農業が好きだからね。今は孫も農業を継いでくれたので、元気でずっと一緒に農業を続けたいなあと思うよ」
———奥さんはどんな食べ方が好きですか?
「加熱して天ぷらやきんぴらもできるのですが、やっぱり生がいいですね。あのシャキシャキとした歯ごたえを残すために皮をむいたら生でドレッシングやマヨネーズをかけてサラダにしていますよ。ヨーグルトに入れてもおいしく食べられますよ」
———ジャムはどのように作るのですか?
風子も、実はヤーコンが大〜好きで自称ヤーコン普及委員と名乗っているくらいです(笑)なんと言ってもおすすめは酸味をきかせたサラダです!
———ご家庭での保存の仕方を教えてください
「ヤーコンは乾燥に弱いので、風があたらないように新聞紙に包んでビニール袋に入れておくのがいいと思います。もし籾殻があったらダンボールに籾殻を入れて並べておくのもいいですね。それと掘りたてよりも少し置いておく方が甘くなりますよ」
———みなさんにお伝えしたいことはありますか?
「とにかくヤーコンは体にとってもいいので、知らない人もぜひ食べてみて。 うちは無農薬で美味しいヤーコンを作っていますのでどんどん食べて元気に役立ててほしいです」
(風子)
【取材後記】
我が家ではヤーコンはかき揚げにして食べることが多いです。にんじんと玉ねぎ、ヤーコンだけで美味しくできますよ! 独特のえぐみが気になる方は、ヨーグルトと一緒に食べていただくと食べやすいかと思います。
編集責任者 小久保 敬一
ヤーコンとにんじんのサラダ
- ■材料
- ヤーコン:1本
- にんじん:1本
- ゆず:1~2個
①ゆずは半分に切って種をとり汁を絞っておく
②ヤーコンは皮をむいて薄切りにしすぐにゆずの汁につける
③にんじんは千切りにして少し塩でもんでから②に入れる
④お好みで砂糖少々とゆずの皮の千切りを少し加える
その他、あればレーズンやパプリカやりんごなどをスライスして 加えていただけると、より美味しくいただけますよ。
レシピ担当:古民家空間「風楽」店主 風子