いちごの声を聞いて大切に育てます
いちご(おいCベリー)
千葉県成田市 大木 克之 さん
◆千葉ではめずらしい「おいCベリー」
ミレーの隣り芝山町でいちご栽培をしている大木さんのハウスに行ってきましたよ〜。ハウスの中には元気良く育った可愛いいちごがいっぱいなっていました。
———大きな粒のいちごですね〜。何という種類のいちごなのですか?
「おいCベリーと言います。2012年に品種登録されたばかりの新しい品種なのであまり聞かない名前でしょ?この辺りでは作っている人がほとんどいないんですよ」
———なんとも美味しそうないちごですね。どんな特徴があるのですか?
「実が固くてしっかりしているいちごです。それでいて糖度が高く、適度な酸味もあって本当においしいんですよ。それにビタミンCが一番多く含まれている品種なんです」
———おいCベリーを作ることになったいきさつは?
「もともと父もいちご農家でした。私もいちごの仕事をやるようになって、せっかくやるなら安定栽培できるおいしいいちごを作りたいなと思っていました。ある時、国の試験農場でこの品種を栽培する人を募集していると聞いて、やってみたいと名乗りをあげました。もともと九州生まれのいちごで、千葉県では一番最初に作ったので、この土地にあった栽培方法などの前例がなく、最初は大変でしたよ」
◆いちごが求める環境づくり
———以前は観光農園もやっていらしたそうですね。
「はい。来た方に自由に摘み取っていただける観光農園もやっていましたが、おいCベリーを地元の道の駅などで試食しながら販売しているうちに、甘くておいしいと評判になりお客様が増えてきたんです。そのうち観光農園の方まで手が回らなくなり今はやっていません。忙しい時は近くの道の駅とハウスを納品のため1日8往復したこともあります。いちごを摘んで箱に詰めては届け、箱に詰めては届け…を繰り返していました」
———減農薬での栽培は難しいと思いますが、どのような工夫をがあるのですか?
「いちごの様子をよく観察し、ほしがっているものを適宜与えるということでしょうか?それと、環境を整えてあげて、いちごにストレスを与えないということが一番ですね」
———そうは言っても何が足りないか、何が必要なのかは、すぐにはわかりませんよね?
「毎日、ハウスの中を歩いて観察しているんです。この地域の気候にあった栽培方法を確立するまで時間がかかりました。ここは寒いのでね。でも寒暖の差があった方がおいしくなるので、例えば春先になると日中の温度を25度くらいにして、その後、夜、温度を上げたり、苗の時は朝と夜の温度を下げるなど、温度管理に特徴をもたせて工夫しました。また時にはハウスの温度をかなりあげて、その分、水を多めに与えるなど、季節ごとに環境を調整しているんです。昨年は、どの作物も日照不足だったと言われていますが、うちのいちごは肥料の与え方や温度管理を徹底していたからか、日照不足による被害がほとんどありませんでしたよ」
◆安心、おいしいには工夫があります
「出荷は12月のクリスマスから春先までがピークですが、苗を作る仕事もあるので一年中忙しいんです。4月頃から苗を育て10月に定植。11月には花が咲き、その一ヶ月後くらいからいちごが実り始めます。いちごを傷つけないように摘み取りにはとても気を使うので、今は摘み取りと箱詰めに追われていますよ」
———いちごはデリケートな果物なので、病気に弱いのではありませんか?
「この品種は比較的丈夫な方ですが、確かにいちごはカビなどに感染しやすいし、細菌性の病気にも弱いです。なので少しでも状態に変化があれば、その都度温度などの環境を整えながら、有機醱酵肥料などを上手に与えることにより微生物を多様化して、農薬をできる限り使わないように心がけています」
———病害虫対策などはどうされているのですか?
「殺虫剤などの農薬はなるべく使いたくないので、粘着捕虫シートをぶらさげています。あとはいちごにつくダニを食べてくれる虫がいるので、それを放ったりもしていますよ」
———とてもツヤの良いいちごですよね?他に大木さんならではの工夫などはあるのですか?
「おいCベリーはとてもツヤとハリのあるいちごなのですが、ウチで使用している、魚を主体とした有機肥料が合っているのかな?とも思いますよ。うちは直売が多いので、見た目の色ツヤも大事なんですよ。この品種は粒に多少の大小がありますが、甘さが安定しているので、ハズレが少ないのが良いですね」
取材中、何個か摘みたてのいちごを試食させていただきましたが、本当にどれもみ〜んなジューシーで甘くてびっくり!いちごが果物の中で一番大好きという早川社長はニッコニコでした〜。
———これからの抱負はありますか?
「若いうちは一生懸命働いて、あとは早めにリタイアして残りの人生を楽しみたいなと思って…(笑)。そのための基盤を今は作っているという感じですね。 みなさんにも自信を持ってお勧めできるおいしいいちごをお届けしますので、喜んでいただけたら嬉しいです。ぜひ手に取っていただいて、たくさん食べてくださいね!」
(風子)
【取材後記】
ミレーの地域は東京から1時間程度で来られるのもあり、いちごのシーズンにはいちご狩りや道の駅などに買いに来る方が曜日問わずたくさんいます。ましてや減農薬&有機肥料の栽培でおいしいとなると、ファンもたくさん!「いちごの声を聞いている」という大木さんは、自分がこまめに手間をかけられるようにと、農地は広げすぎないようにした徹底ぶり。以前テレビで紹介されたこともあり、ミレーでの販売も、度重なるラブコールの末、ようやく実現することができました!ミレーで販売スタートの時に大雪で大変な出だしでしたが、この地域のいちごは3・4月はシーズン後半となり味が落ちるのに対し、大木さんの栽培では味が落ちにくいとのこと。早期リタイアとおっしゃってますが、ぜひ末永く、ミレーのお客様においしいいちごを届けてほしいですね。
編集責任者 中村 彰宏
いちごのショートケーキ
- ■材料
- スポンジ台:1台
- 生クリーム:1パック
- 砂糖:大さじ2〜3
- いちご:適量
- いちごジャム:適量
①スポンジ台を半分に切り、いちごジャムを塗る
②生クリームに砂糖を加えて固めにホイップする
③スポンジ台に生クリームをデコレーションしいちごを乗せる
*ケーキの周囲は市販のケーキ用フィルムを貼っておくと乾燥しません。
市販のスポンジ台を使用して簡単に作れます!ご家族で手作りケーキを楽しんでくださいね♪
レシピ担当:古民家空間「風楽」店主 風子