やさしい大根作ってください。大栄町 高柳武治さん
ちょうど2年前。風子がまだミレーの仕事を始めて間もない頃、おかげさま農場の高柳武治君の三浦大根の取材に行ってきました。ずっと前から武治君とは知り合いで、いつも美味しい野菜を分けていただいているので、今回、また改めて取材というのも何だかテレくさかったのですが、大家族のみなさんにもお会いできてとても楽しかったです~
大栄町の高柳武治さんの畑に行きました。三浦大根が元気に育っています。

 

ミレー風子)
こんにちは。寒いですねえ。またまた三浦大根の季節になってきましたね。今年の成育はどうですか?

高柳)
今年は寒くて霜がおりるのが早いので、三浦大根もあまり大きくはならないようですね。やはり温かい方がこの時期でも成長が進むようですよ。でも霜にあたっているから甘味はすごく増しているようです。

ミ)
本当に今だけの旬の味ですよね。

高)
そうですね。うちは姉夫婦と一緒に全部で一反歩作っています。三浦大根は12月に入ってから出荷が始まり、1月中旬までの季節限定の大根です。特に1月に入って霜が強くなると頭の部分が霜にやられてしまうので、葉っぱをつけたままで出せるのは今だけなんですよ。この季節ならではの三浦大根は味噌汁にしても煮物にしてもとにかく美味しいですからね。

ミ)
ちょうど今が収穫時期だそうですが、そうするためにはいつ頃、種まきをするのですか?

高)
9月5日頃です。旧暦で9月1日を「二百十日」と言って節分から数えてちょうど210日目になるのですが、この日に冬に向けての大根などの種まきをするとよいと言われています。30センチ間隔で2粒づつ種を蒔いていきます。大きくなるので畝(うね)と畝の間隔も
70センチと広いんです。

ミ)
その後はどういう作業があるのでしょうか?

高)
発芽して2週間くらいたった9月末頃に間引きをしていきます。間引きしながら中耕と言って大根の芽の脇に土をかぶせていくのです。その時に、葉っぱが曲がっているものや倒れているものを真っ直ぐに起こしてやります。そうしないと首の曲がった大根になってしまうからです。

ミ)
害虫などはこの時期だからあまり発生しないのですか?

高)
メイ虫といってニカメイ蛾の幼虫が発生します。奴らはけっこうしぶとくて、1年に3回繁殖期があるんです。その9月の繁殖期にちょうど重なってしまうのです。発生すると成長点を食べてしまうので、野菜が育たなくなってしまうんですよ。だから中耕しながら見つけたら手でつぶしていくのですが、けっこうやられる場合もありますね。

ミ)
前に害虫の生育する環境がどんどん北上してきているというお話をお聞きしましたが・・・。

高)
そうなんですよ。たとえばアメリカシロヒトリとか昔は樹木に多かった害虫が今は野菜にもついてしまったり、ハスモンヨトウ虫、タバコ蛾などもかつては西日本にしか生育しない害虫だったのですが、関東地方にまでどんどん押し寄せてきているようです。温暖化の影響なのでしょうか。前はレタスなども無農薬で作りやすかったのですが、最近では虫がつきやすく、作るのが大変になってきています。

 

 

生産物:三浦大根
所在地:千葉県香取郡大栄町

 

高柳親子
高柳武治さんと娘の梓ちゃんです。

 

高柳さんの畑
遠くまで見渡せるひろーい畑です。

 

三浦大根の畑
三浦大根がちょうど収穫時期でした。

 

三浦大根の葉っぱ
寒空の下で三浦大根の葉も元気に育っています。

 

一部の野菜は地元の学校給食でも使ってくれるようになりました。

 

ミ)
そういえば、2年前に見せていただいた大根畑と場所が違うんですね。

高)
基本的におかげさま農場では連作はしないことになっているので、毎年作っているものでも畑の場所は変えています。でも家から遠い場所に畑があると作業をするにも効率が悪いんですよ。家の周りに畑が集中していると、それだけで随分ラクになるのですが・・・。

ミ)
堆肥はどんなものを入れているのですか?

高)
牛糞、糠、野菜の残渣(ざんさ)などを混ぜて作っている堆肥を夏の間に入れて、その後、種まきの前におかげさまの有機配合肥料を加えています。三浦大根は比較的肥料が少なくても育ちやすいもののようですよ。

ミ)
大根と言えば、大栄町ではお馴染みのお野菜ですよね。前に大栄町の学校給食に地元の野菜を使いたいって言ってたでしょ?その後、どのようになったのですか?

高)
あの翌年にとりあえず人参と大根、サツマイモというような大栄町でよく収穫される野菜だけは使っていこうということになりました。主に20代から30代の若者でやっている「ファーマーズクラブ」が中心に納品しています。でもどうしても人参や大根が収穫できない時期もあるので、そういう時は外注になるみたいです。1500人の子供たちが食べる量なのに、納品している量は案外少なくて、それほどの量にはならないんですよ。

ミ)
すごい!よかったですね。これからもどんどん野菜を作って使ってもらう量が増えていくといいですね。

高)
ただ学校給食を全部、自分らの野菜で賄おうなんて思っているわけではないんですよ。でも子供たちに親が作っている野菜を少しでもいいから食べてもらいたい、子供たちにとって故郷である大栄町の野菜を食べてもらいたいと思ってやっていることなので・・・。
給食の献立表にも生産者の名前が書いてあったり、食べた感想を教えて欲しいのでメールアドレスを載せてもらったりしているんです。

ミ)
献立表に生産者の名前が載るなんていいですね。

高)
ついでに顔写真まで載せてもらえたらなあと思っていたのですが、それはダメでしたけどね(笑)

 

 

三浦大根を抜く高柳さん
高柳さんに三浦大根を抜いてもらいました。

 

抜いた大根を持つ高柳さん
とても立派です。

 

霜が振ると甘みが増します。
三浦大根は霜が降ると、甘みが増します。

 

畑で遊ぶ梓ちゃん
畑は梓ちゃんの絶好の遊び場です。

 

子どもたちに何が残せるか、いつも考えながら農業をやっています。

 

ミ)
やはりご自身も子供たちが生まれて、地域や社会との関わりをいろいろ意識するようになってきたのでしょうか?

高)
一応、この秋に30歳になって、いつまでも子供のままではいけないなあ・・・なんて思いましたけどね・・・。でも30歳という節目はやはり大きかったです。それに秋には3番目の子供が生まれ、ますますしっかりしなくちゃと思うようになりました。子供がすごく好きだし、自分も3人兄弟だったので、3人がいいなあと思っていたんですよ。

ミ)
武治くんは、子育ても一生懸命やっているいいパパなんでしょうね。

高)
秋に下の子が生まれて以来、2番目の梓が赤ちゃん返りしてしまったので、今、どこに行くにもボクと一緒なんです。だから畑にも一緒に行って、大根を抜いている時も畑で遊んでいたり、車の中で寝ていたりしています。
(お話している間もずっと武治くんは梓ちゃんを抱っこしていました)

ミ)
ずっと一緒だとお仕事するのも大変でしょう?

高)
自分一人だったら、収穫している時にじゃまされたりしたら、イライラしちゃうこともありますね。でもうちはじいちゃん、ばあちゃん、若じいちゃん、若ばあちゃんと4世代で住んでいるでしょ?そうするとじいちゃんたちはすごいんですよ。落花生の選別なんかしていて子供たちが横にいてイタズラしても、あまり怒ったりしないで、「よくできたね」なんて言っているんですよ。そういうのを見ていると見習わなくちゃって思うし、大家族っていいなあって思うんですよ。

ミ)
子育てをたった一人きりでやっていたら、さぞ大変だと思いますよ。私なんか核家族だったから大勢の中で子育てできてすごく羨ましいなあと思います。

高)
逆に大勢で暮す大変さというものもあるんですけどね・・・。でも世代がつながっていると代々の命みたいなものは感じます。堆肥を入れたり、麦を植えたりと、今やっている仕事が即、来年の作物の生育に反映されなかったとしても、少しづつ土ができてきて、いつか子供たちが農業をやる時にはちゃんとした土になっているかもしれないな・・・とか、長いスパンで物を見ることができるようになりましたね。今、家の裏にある山を切り開いて作った畑はまだ土ができていないんです。でもそれも何十年か先にいい土になっているかもしれない。そうしたら子供たちは家のすぐ近くの畑で野菜が作れるようになるんだな・・・そんなふうに思って仕事をしています。

ミ)
ミレーのお客様にお伝えしたいことは何かありますか?

高)
今、自分としては有機農業とか無農薬とかあまり意識して特別視しないようにしようと思っているんです。むしろ日本と言う国の中で農場をやり続けていくのはすごく大変なことなので、そんな中で有機に限らなくても、農業をやっている人たちがいるというだけでスゴイことなんじゃないかなと思って・・・。

ミ)
確かに日本は本当に農業を守ろうとしているのかなというのは自問だし、この先どうなってしまうのだろうかと不安もたくさんありますね。

高)
偉そうなことは言えませんが、食の現場をとにかく守りたいと思っています。それとある人が「子供たちに残せる財産は土しかない」と言っていたのですが、まさにそのとおりで、子供たちに何が残せるんだろう?っていつも考えながら、農業をやっていきたいと思います。

2番目のお子さんである梓ちゃんは本当にパパっ子で、お話の間もずっと武治君にべったり。武治君が畑に行こうとしたら、置いていかれるのではないかと泣いてしまったほど。でも赤い長靴をはいて一緒に大根畑に行ったら、すごくご機嫌になって「この大根、持っていかなきゃ、しゃーないよねー」なんて話しているんですよ。すごく可愛かったです。この子たちが大きくなってもこの畑ではきっとたくさんの野菜たちが育っていくことでしょう。

取材:2005年12月19日

 

 

畑で遊ぶ梓ちゃん
大家族のなかで育って、梓ちゃんはとても幸せそうです。

 

土は財産、高柳さんは語ります。
「子どもたちに残せる財産は、土しかない」代々畑を受け継いでいきます。

 

三浦大根
ずらっと並んだ三浦大根、みそ汁にも煮物にも絶品です。

 

頑張ります。
農業も子育ても頑張ります。

 

 
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