土作りがにんじんをおいしく

風子が生産者の取材を始めて、この秋で丸3年になります。その間、本当にたくさんの農家さんに会ってきました。でも、ミレーでお馴染みのみみずの会の中にも、まだお話したことのなかった生産者がいらしたのです。今回は、みみずの会のメンバーの一人、菅澤烈さんの畑に初めておじゃましてきました。

みみずの会 菅澤 烈さんのにんじん畑にやってきました。


ミレー風子)
こんにちは。やっと菅澤さんの取材をさせていただくことができました。いつもお名前は伺っていたのですが、なかなか機会がなくて、いつになったら畑に行けるのかなと楽しみにしていたんですよ。

菅澤)
俺はみみずの会の中でもちょっと担当が違っていたし、ミレーに出荷している野菜もメンバー全員で分担しているから、いつも畑に野菜があるというわけでもなかったんだ。だから今まで取材を頼まれても、畑にできているものと取材してもらいたい野菜のタイミングが合わなくて、機会がなかったんだよ。

ミ)
今回、にんじんの取材が間に合って本当によかったです。

菅)
そうだね。あまりたくさん作ってなくて、じきに全部掘り終わっちゃうから早く取材してたくさん売ってくれないと、また畑が空っぽになっちゃうかもよ(笑)。

ミ)
ハイ。ではさっそく(笑)。まずにんじんの品種から教えていただけますか?

菅)
これは「勝陽(しょうよう)」という品種だよ。暑い夏でも生育しやすいと言われている丈夫な品種なんだ。無農薬でつくるには、できるだけ丈夫な品種じゃないと病気に負けちゃうんだよ。丈夫なだけじゃなく、とても甘くてみずみずしいといった特徴もあるので、味も良いんだよ。ここのにんじんは、2月にマルチ(雑草よけや保温のために畑に敷く細長いビニール)を敷いて種まきをして、トンネルをかけて、寒い冬の間に少しずつ育ったものなんだよ。

ミ)
もう充分大きく育ってますね。あとは収穫されるのを待つばかり・・・といったところですか?

菅)
夏場のにんじんは、冬と違って長く土に中においておくと傷みやすいから、7月中旬までには全部、掘りあげて冷蔵庫にしまっておくんだよ。それを夏の間に少しずつ出荷していくのだけれど、千葉県ではどうしても秋になるとにんじんがなくなってしまうんだ。

ミ)
冬から春へのつなぎ目は、うまく春にんじんができればなんとか間に合うようですが、さすがに9月頃には春にんじんもなくなってしまいますからね。風子のお店でも、夏の終わりになると野菜の種類が少なくて苦労します。ところでこのにんじんはいつ頃間引きしたのですか?

菅)
4月末からトンネルの中に手を入れて間引いていくんだけど、その頃には草も生えてくるから、草取りをしながら間引くんだよ。だから一列間引き終わるまで随分と時間がかかるんだ。

ミ)
一番大きな元気が良い芽を残して他の芽を摘んでいくのですか?

菅)
そういうわけでもないんだよ。トンネルの中は、真ん中が一番気温が高くて、端の方は外気に近いから気温が低いんだ。だからどうしても真ん中あたりの芽が一番大きく伸びてしまうんだよ。でもそれを残してしまうと、今度は全体のバランスが取れなくなる。だから、大きいものを残すというよりも全体の生育が平均的になるように大きさを揃えていくんだよ。

ミ)
大きく育っている芽が良いとは限らないという事なのですね。何だか間引きって難しそうですね。

菅)
そんなことはないよ。全体の生育状況を見ていけばいいんだからさ。それより間引きの時期になると草の勢いがすごいから、いいかげんに手で草を抜いちゃうと、小さなにんじんの芽まで一緒に抜けちゃうんだよ。だからうちでは草を抜かずにハサミで切っているの。でもそうすると草の根が残っているから、ほらこの通り、草だらけになっちゃうんだよね。

ミ)
草が生えている畑の方が、除草剤を使っていないということが分かるので、見ていても安心できるのですが・・・。

菅)
いやあ、そう言ってもらえると嬉しいなあ。でも、こんなに草だらけな状態でいいと思っているわけじゃないんだよ。手が回りきらないので、こうなっちゃうともうお手上げって感じなんだけどさ・・・。

 

 

生産物: にんじん
生産地: 成田市

菅澤さんの畑
菅澤さんの畑にやってきました。

 

菅澤 烈さん
菅澤 烈さんです。

 

収穫後のにんじん畑
収穫後のにんじん畑。のこりわずかです。

 

 

 

 

 

掘り出したにんじん
掘り出すと、もう十分大きくなっていました。

 

 

 

にんじんの葉
掘りたてのにんじん。菅澤さんの畑は、どうしても草がたくさん生えてしまうそうです。除草剤を使っていないのは安心なのですが。

 

 

慣行農業から有機農業への移行は、そう簡単ではなかったそうです。


ミ)
この畑は藤崎さん(ミレーで扱っている牛乳の生産者さんの一人)の牧場のすぐ隣りなんですね。藤崎さんの牧場へも前に取材に伺いましたよ。

菅)
実はうちの親戚でね。藤崎さんが最初、牛乳を生協に出荷していたことから、無農薬野菜を扱う生協があるということを紹介してくれて、みみずの会を立ち上げるきっかけになったんだ。

ミ)
みみずの会を始めてすぐに野菜を出せるようになったのですか?

菅)
たまたま農薬をかけないで作った大根があったから、どうかなって話に行ったんだけどね、農薬以外のことでもいろいろな条件があって、ただそれだけじゃ最初は相手にされなかったんだ。その後、こちらもいろいろ勉強しながらうまく作れるかなと、やってみたのはいいけれど、それまでみんな慣行農業しかやったことがなかったから、無農薬での野菜の作り方なんて全然分からなくてさ、最初は苦労したよ。

ミ)
でも、農家のお生まれでずっと野菜を作っていらしたのですよね。

菅)
冬にんじん、ごぼう、さつまいも、里いも・・・この辺りの昔からの農家はそれくらいしか作ってなかったから、いざ、春にんじんを作ろうとか、ほうれん草を作ろうとか言っても、実際はやったことがなかったんだ。みみずの会として出荷していくとなると、野菜の種類もいろいろ必要でしょ。それで手さぐりでいろいろと作り始めたんだけど、2年くらいはきちんとした野菜ができなかったよ。

ミ)
最初の頃は慣行栽培と平行しながら有機農業に移行されていったのですか?

菅)
そうだよ。徐々に切り替えていったんだけど、なかなか良い野菜が作れなかったんだ。でもさ、無農薬で「やる」と言って始めた以上、すぐに「できません」なんて言うのも格好悪いから、いろいろ勉強したりしてね。ようやく何年かしてから品質の良い無農薬野菜ができるようになってきたんだよ。こんなに難しいものだとは思わなかったね。

ミ)
無農薬で野菜を作るには、どういうことがポイントになるのでしょうか?

菅)
やはり連作をしないということが基本だね。特に根野菜は一度作ったら、その野菜を作る時に発生した細菌や微生物などが地中に残っているから、絶対に同じ畑で続けて作らない。できたら同じ科の野菜の連作も避けた方がいいね。それに、長く無農薬で野菜を作り続けていれば良い土になるとは一概には言えないんだよ。

ミ)
そうなんですか?長い時間をかけた土作りによって肥沃な土ができてくるという感じがするのですが・・・。

菅)
そういう部分もあるけれど、化学肥料のように都合よく必要なものだけが配合されているというわけではないから、有機肥料だけでは不足してしまうものもあるんだよね。「微量要素」は有機肥料だけではなかなか作られないんだよ。

ミ)
微量要素というのはどういうものなのでしょうか?

菅)
作物を作るためにはチッソ、リン酸、カリウムという三大要素が必要なのは知っているよね。それ以外にもマンガン、カルシウム、マグネシウム、硫黄、鉄、銅、亜鉛などの要素が必要と言われているんだけれど、それらのことをまとめて「微量要素」と呼んでいるんだ。

ミ)
有機農業でそれを補うためにはどのようなことが必要なのでしょうか?

菅)
難しいよね。土の中の微生物のバランスを良くしてやることや、麦や牧草の種を蒔いて緑肥を積極的に土に入れたり、輪作の計画を立てて、なるべく多くの種類の野菜を、畑を変えながら作っていくことなど、いろいろ工夫してはいるけれど、難しいねえ・・・。

 

 

藤崎さんの牧場

となりは藤崎さん(ミレーで扱っている牛乳の生産者の一人)の牧場でした。

 

出荷作業中の菅澤さん
出荷作業中の菅澤さん。慣行農業から切り替えて、最初は無農薬野菜の作り方がわからず、苦労されたそうです。

 

にんじん葉っぱ
にんじんの葉っぱです。新鮮です。

 

 

 

 

堆肥
土作りは工夫と根気が必要です。

 

 

ジュースに最適
ジュースしても、おいしいにんじんです。

 

 

 

土の様子
土作りは微生物のバランスがポイントです。

 

生懸命真面目に作っています。甘くてみずみずしい勝陽を食べてください。


ミ)
みみずの会では、畑の土壌成分を定期的にチェックしているとお聞きしましたが・・・。

菅)
それはやっているよ。うちでは牛糞と籾殻で堆肥を作っていて、みみずの会全体では米ぬかを使ったボカシ肥料を使っているんだけど、牛糞を使っている畑はカリ分が多くなるんだよ。逆に鶏糞を使った畑では堆肥の分解は早いんだけれど、リン酸が多くなってくるので、その時の土の状態を見て、足りないものを補うようにしているんだよ。

ミ)
土作りは時間がかかるものだとは思っていましたが、長く続けていくことの難しさもあるのですね。そういう意味も含めて、有機農業を長く続けていくということは本当に大変なことなんですね。

菅)
作っている畑を見てもらえれば実態はわかるよ。有機農業はそんなに簡単なことじゃない。

ミ)
食べている皆さんにはどんなことをお伝えしたいですか?

菅)
一生懸命真面目に無農薬で作っているので、安心して食べてください・・・ということしかないよね。これからもがんばって美味しい野菜を作り続けます。

今回の菅澤さんのお話をお聞きして、長く有機農業を続けていくということは本当に大変なことなんだなとつくづく思いました。それでも美味しい野菜を丁寧に作り続けてくださって、有難いことです。これからも作っていただく方に感謝しながら、大事に野菜を食べていきたいと思いました。菅澤さんどうもありがとうございました。

取材:2006年7月3日

 

 

 

 

 

にんじんを持つ菅澤さん
一生懸命、真面目に無農薬で作っています。

 

 

 

ぜひ食べてください。
甘くてみずみずしいにんじん、勝陽をぜひ食べてください。

 

 

 
お客様の声
 
オクノ様(2006年07月13日 12時21分)
有機農業って、すごく手間がかかるのですね。
連作をしないとか、化学的なことも考えていろいろと
苦労されて、安全な野菜を作っているのですね。


 
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