自然薯掘り名人鴇田彦明さんに同行取材

今回の取材は久しぶりの自然薯掘り。実は2年ほど前にも、鴇田さんに自然薯掘りへ連れていっていただいたことがあるんです。でもその時はあいにくのお天気だったので、ゆっくり掘ることはできませんでした。今回はお天気にも恵まれたので、じっくりと鴇田さんの掘りっぷり?を取材してくることができました。

香取市の鴇田彦明さんの自然薯掘りを取材しました。
車から道具を出す鴇田さん
鴇田 彦明さんと自然薯掘りに行きました。車の中には道具がたくさん入っています。

自然薯掘りの道具
鴇田さんが加治屋さんに作ってもらった、特注の道具です。

ミレー風子)
こんにちは。お久しぶりです!今日はいいお天気になりましたねえ。

鴇田)
自然薯があるポイントはだいたい検討をつけておいたよ。道具も車に積んだから、さっそく出発するよ。

鴇田さんが鍛冶屋さんに作ってもらったという自然薯を掘るためのスコップと、ハサミの形をした細いスコップ、ハサミとのこぎり。これが自然薯掘りに必要な道具です。

今回の自然薯掘りのメンバーは、鴇田さんと鴇田さんのお友達、風子と風子の店に今年から来てくれることになった板前さんの総勢4人!さあ!自然薯掘りに出発~!!

しばらく車を走らせて、細い道を入った奥にある畑の横に車を止め、突き当たりの竹やぶまで畑の脇道を歩いていきました。

鴇)
準備はできた? 竹やぶの中に入っていくからね。軍手をして体の中に木の葉が入らないように首にもタオルを巻いた方がいいよ。服にいろいろくっついちゃうからナイロンのジャンパーも着てね。

風子もジャンパーをはおり帽子をかぶりタオルを巻いて軍手をして、ポケットには水分補給用のみかん・・・と重装備。

よく見ると鴇田さんは親指と人差し指、中指と軍手の先をカットしていました。

ミ)
何で軍手を切ってしまうのですか?

鴇)
最後に芋を掘り出す瞬間はさあ、軍手じゃ感覚がつかめないんだよね。芋を実際に素手で触って確かめたいからね。それに万が一のことを考えて、ラジオや発炎筒をウエストバックに入れておくんだ。

自然薯が掘れる時期は11月中旬から2月頃まで。その時期はちょうど狩猟も解禁されるので、近くにはハンターもたくさんいるそうです。

鴇田さんの軍手
親指、人差し指、中指をカットした鴇田さんの軍手。

重装備の鴇田さん
道具を抱え、重装備で出発です。

鴇)
ふと気がついたら目の前をさあ、猟犬がうろついていることだってあるんだよ。猟犬って、ハンターから200m以上離れた場所には行かないように訓練されているからね。つまり、すぐ近くで狩猟している人がいるってことでしょ? だからけっこう命がけなんだよ。

命がけ・・・と聞いて、ちょっと襟を正す思いになった風子。

竹やぶの中、道なき道を篠竹を切りながら進みます。
竹やぶに入る鴇田さん
竹やぶに入っていく鴇田さんです。道なき道を進みます。

鴇田さんは竹やぶの道なき道を、歩きにくい場所はハサミで篠竹を切りながら、どんどん進んでいきます。一体どこに自然薯があるのか、風子はさっぱりわかりません。

鴇)
竹や杉の木の上に自然薯の蔓がからまっているから、それを見つけたら根元をたどって掘る位置を決めるんだよ。

ミ)
むかごでも残っていたらわかりやすいのですが・・・。

鴇)
自然薯掘りをする頃にはむかごはもうないんだよ。でも、むかごがあれば取っておいて、なるべく掘り終わった後に土に埋めてくるようにしているんだ。そうすると何年か先には大きな自然薯に成長するからね。もちろん掘った後の穴もきちんと埋めるよ。

ミ)
確か自然薯は大きくなるまでにとても時間がかかるそうですね。

鴇)
そうなんだよ。1年で10cmくらいしか伸びないからね。だから、小さな芋は採らないようにしているんだ。残しておけばそのまま大きく育っていくからね。

話しているうちに、どうやら鴇田さんは自然薯を見つけたようです。まず、杉の木や竹にからまっている蔓を見つけて、その根っこをたどり、地中に芋ができているのを確認します。そして、蔓を切って芋の頭の部分であるタコと呼ばれる部分を探り出しました。その後は芋のヒゲの広がり方を見ながら、芋の伸びている方向を予測します。

鴇)
ほら、これがタコ。タコの大きさを見れば芋の大きさや長さはだいたい見当がつくから、タコを見つけたら周囲の土をどんどん掘っていくんだよ。さっそく掘るよ。

さっそく鴇田さんは芋の回りの土を掘りはじめました。みるみるうちに1m近い深さの穴が掘られていきました。

時々、暗い穴の中に懐中電灯の光を当てたりして芋の伸びている方向を確認し、芋が折れないように、細心の注意を払って掘り進めます。鴇田さんはもう汗ビッショリ。

鴇)
ほら、土の色が変わってきたでしょ?黒土から始まって赤土、そしてヘナ土・・・。この3層にわたって伸びている芋が美味しいんだよ。ヘナ土になってきたら、そろそろ先端が近づいてきたということなんだ。

しばらく掘り進むと、鴇田さんがタコを手で押さえながら、もう片方の手で芋の周囲を掘り始めました。芋がグラグラしてきました。

自然薯を発見した鴇田さん
自然薯を発見した鴇田さん。蔓をたどって地中の芋を確認します。

自然薯を掘り始める
道具を借りて風子も手伝いました。かなり重労働です。
自然薯が出る直前
あと一息で自然薯が抜けます。

鴇)
穴を掘った後に、こうして芋の回りに手を入れて芋を抜くんだ。もうすぐ抜けるよ。

鴇田さんは慎重にゆっくりと芋を抑えながら、土の中からゆっくりと持ち上げると・・・。

ついに自然薯が抜けました!

貴重な天然ものの自然薯です。ぜひお召上がりください。
ミ)
うわあ、太くて長い!立派な芋ですね。折れずにそのままきれいに掘れましたね~。

鴇)
俺が掘った芋の中ではそれほど長い方ではないけどね。一番長かったのは、170cmくらいの芋だったかなあ・・・。折らずに全部をスーッと掘り上げた時はすごく気分がよくて楽しいね。最初は趣味でやっていたのに、いつのまにか名人なんて呼ばれるようになっちゃったんだよ。

掘った芋は折れないように、篠竹を添え木にして、細い蔓をそっと巻きつけます。その作業は風子がやらせていただきました。

鴇)
穴掘っている姿は何だかへっぴり腰だったけど、そうやっている姿はけっこう手つきがいいじゃん!

太くて長い芋
太くてとても長い芋が抜けました。
芋を掘り出した板さん
板さんも30分かけてやっと芋を掘り出しました。

うーん。誉められているんだか笑われているんだか・・・??。途中でちょっとだけハサミ型のシャベルで穴を掘らせていただいたのですが、見ているよりもずっと難しくて、土が思うようにはさめませんでした。

でも風子は蔓カゴを編むのが好きなので、最後の蔓を巻くのは得意な仕事。だけどそれだけできてもねえ・・・?!

最後に鴇田さんはもう一つ、別のポイントを見つけてくれて、板前さんに「掘ってみな」と言って自然薯掘りを指導してくれました。板さんは必死に穴を掘っていき、30分ほどで中くらいの自然薯を掘り出すことができました。

すりおろした自然薯
すりおろした自然薯。土の香りがしっかりです。
自然薯とにんじん、ブロッコリーの和え物
にんじんやブロッコリーと和えても美味しいです。
風子 全身が木の葉や土にまみれてかなり汚れてしまいましたが、竹やぶの中に入って、土と戯れながら自然薯掘りを取材した時間はとっても楽しかったです。もちろん掘った自然薯は店に帰ってからトロロにしていただきました。長く和食の仕事をしてきた板前さんですが天然の自然薯を食べたのは初めて。「土の香りがするなあ・・・」と感激していました。それほど珍しくて貴重な天然ものの自然薯。鴇田さんが命がけで掘ってくれました。みなさんもぜひどうぞ!
取材者:川端 えい子(風子)
年月日:2007年1月10日
 
お客様の声
 


 
トラックバック
 
clear.gif