千葉県山武市 農事組合法人・さんぶ野菜ネットワーク 槍木康直さん

千葉県山武地域で有機農業に先進的に取り組み、ミレーに有機JAS認定の野菜をはじめ、多彩な品目をお届けいただいている農事組合法人・さんぶ野菜ネットワークさん。
「農薬や化学肥料を使わずに有機栽培を続けていくのはたいへんだけれど、皆さんに喜んでいただけるようとにかく精一杯やっています」。
会員の一人で有機栽培に奮闘する槍木康直さんの農場を訪ねました。

先代から受け継いだ作物づくりの教え

槍木さんは4.5ヘクタールでにんじん、こかぶ、大根、らっきょう、ズッキーニなどおよそ10品目の野菜を年間に栽培。ミレーには、さんぶ野菜ネットワークさんを通して季節ごとの旬の野菜をお届けいただいています。
5月中旬にお訪ねした時は、らっきょうやにんじんの収穫を目前に控えているところでした。 槍木さんが就農したのは、およそ15年前。
「農家の長男として育ってきたので、後を継ぐのは当たり前だと思っていました。作物を育て始めると、どんどん作るのが楽しくなって栽培の奥深さも分かってきました」
と、どん欲に良質な作物づくりに励んでいます。
有機栽培は21年前に父・行雄さんが取り組み始めたそうです。連作障害に陥った畑を土づくりから見直して、輪作体系を確立するべく着手。

年間を通してさまざまな野菜を作っている槍木さん。農場運営は槍木さんの肩にかかっています。

行雄さんは、さんぶ野菜ネットワークの有機部会が発足した21年前に初代の部会長を務め、有機栽培の拡大に力を尽くしてきたかたです。槍木さんが持つ営農技術や経営のノウハウは、行雄さんにたたき込まれてきたもの。
行雄さんが去年に急逝されてからは、農場運営は実質的に槍木さんが一手に行っています。
「いつもどこかで親父が見ているような気がする。きちっとやってゆかないとね・・・」
大切な教えを受け継いでゆく姿勢が農地の状態と作物に反映され、滋味豊かな野菜を作り出しているのでしょう。

経験を重ね、風土を知り尽くした技で栽培

隅々まで手入れが行き届いた槍木さんの農場。先代からの教えは「畑の草はとれ」。

農場をお訪ねしてまず印象に残ったのは、農地がきれいで雑草が少ない点。
「雑草は害虫の発生源にもなるので、とにかく『畑の草は取れ』と教えられてきました」
と槍木さん。
農地の隅々まで丹念に手入れが行き届いているのは、先代の教えをしっかり守り、実践している証拠です。
「お客さんに食べていただく野菜だから、美味しくて安心できるものを作ることは当然」
との自負も営農するうえでの推進力になっています。
有機栽培や無農薬栽培は、害虫による食害に気を配る必要があります。槍木さんは害虫を抑え込むというより、どの時期に何を作れば食害を回避できるか、といったことを考えて栽培体系を確立。
「作物をつくる時期の見極めは、経験を積み重ねてようやく分かってくるんです」と槍木さん。

「たとえば、春だいこんは2月下旬あたりに種をまくと害虫にやられる傾向があり、その前に種まきして4月いっぱいに出荷すれば大丈夫なケースが多いんです。また、にんじんは7月に種をまくと黒葉枯病(くろはがれびょう)が出やすい」と説明します。
有機栽培や無農薬栽培は、 日々畑や作物と真摯に向き合い、山武地域の風土を知り尽くしているからこそ実践できることなのです。
良質な作物をつくる土台となる土づくりでも、経験によって培った独自の感覚をフルを観察しに活用。圃場ごとに微妙に異なる土の色など、土にどのような成分が必要なのかバランスを見極めて追肥するなど入念に土づくりをしています。

作物は力を尽くした汗の結晶

これからの季節、ミレーには生らっきょうなどをお届けいただく予定。
このらっきょうは、なんと昨年8月に植え付けたもの。それから約10ヵ月後である6月にようやく収穫を迎えるのです。
「作っている作物のなかではらっきょうが一番難しい。収穫してみなければ実際の出来や収量は分からないから」と槍木さんは語ります。
とはいえ、今年は上々の出来と予測。
槍木さんから試食用としていただいた去年度のらっきょう漬は、酸味と旨みが濃厚で酸味もほど良く、早くも今年の出荷が待ち遠しくなる絶品でした。
「作物を無事収穫できた時は、この仕事をやっててよかったといつも思います。出荷を手がけながら畑を見ることはちょっと無理があるから、できれば作物づくりに専念して畑だけを見ていればいい状態にしたいね」 と、槍木さん。

写真上:らっきょうの出来具合を確かめる槍木さん。/写真下:槍木さんのズッキーニの圃場。手前は、さんぶ野菜ネットワークさんの花見博州さん。

「よりいい野菜を皆さんに届けられるよう、出荷と栽培両面で効率のいいやり方をこれからも模索していきたいと思っています。命をかけて栽培に汗を流しているので、安心して食べてください」
一途な思いで美味しくて安心できる作物づくりに精進する槍木さんの野菜を、ぜひ楽しみにしてください!


試食でいただいた、去年度のらっきょう漬け。今年の出荷が待ち遠しくなる美味しさでした。

有機栽培や無農薬栽培は「草との戦いだ」と言われます。今回槍木さんの農場を訪ねたときは、ちょうど草刈りをしているところでした。「毎日毎日、きっちりやり積み上げてゆくことが大切」と、労を惜しまず、畑の隅々まで手入れする槍木さん。継続は力となって作物の味わいにも反映されているように感じます。 取材を終えたのは夕方近く。「これからだいこんの収穫200本だよ」と軽やかに話す槍木さんの笑顔に触れた時、なんだか元気をいただいたような気持ちになりました。
受け継がれてきたものを大切にし、実践する槍木さんは、より滋味深い野菜を作り続けることでしょう。

取材者:松本 一直
年月日:2009年5月11日

 
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