ミ)
すごく貫禄がついて、もう新規就農者という感じではなく、「農家さん」の顔になってきたような気がしますね。仕事は充実していますか?
岡)
そうですね。今、目の前にある仕事をしながらも次の季節に向けての準備を常に考え、種まきをしたり、畑を耕したりと、焦らず順繰りに作業できるようになりました。農家というのはその繰り返しなんですね。絶えず作業を続けていくというか・・・。それがうまく回って準備が着々と進むとすごく嬉しいんです。だけど、雨が続いたり資材が思うように揃わなかったり、トラブルがあったりすると、ちょっとイライラしてしまったりしますね。
ミ)
やっぱり収穫の時が一番嬉しいのですか?
岡)
最初は仕事を単体でしか見られなかったから、例えば今ここにあるレタスを収穫することだけを考えていた時期もありました。収穫は確かに嬉しいですよ。だけど農業ってそれだけではないんです。最近では、収穫はほんの一瞬で、その前に、収穫に向けての細かい過程がたくさんあって、その一つ一つの全てが収穫につながっているということが実感としてわかるようになりました。今でも畑にいるのが大好きだし、収穫が終わった畑でも次の季節へと農作業は継続しているから、毎日、畑に来ています。そしてそれは、農業をやりたかったという昔からの夢が今も継続しているということの表れだと自分では思っています。
ミ)
野菜を無農薬で作っていく上で、いろいろ苦労していることもあるのでしょうけれど、岡田君にはそういう大変さみたいなものが、あまり感じられないような気がするのですが・・・。
岡)
好きなことをやらせてもらっているからだと思います。それに自分でもすごく苦労したとか、這いつくばってがんばったとか、血の滲むような努力をしてきたとかいう感じはないんですよ。たまたまなのでしょうけれど、好きなことを仕事にしてきて、いつも楽しかったし、もちろん大変なことはあるけれど、それほど大きな苦労をしているというわけではないと思います。
ミ)
どうしてなんでしょうか?新規就農の人たちは多かれ少なかれ、かなり苦労をしているのではないかと思いますが・・・。
岡)
たまたまラッキーだったんだと思いますよ。僕は分からないことは何でも先輩に聞いているんです。だから自分一人で悩むことはありません。困っていることも相談しているし、とにかく見栄をはらないで、分からないことは、分かりません教えてください・・・と、率直にお願いしています。幸い「みみずの会」の先輩方は良い方ばかりなので、いろいろな事でご指導いただいたり、助けていただいたりしました。そして先輩方のおかげで今では何とか家族も自分の農業の収入で食べていけるようになっています。
ミ)
奥さんも協力してくれているのですか?
岡)
今は育児にかかりっきりなので、ほとんど自分一人で作業していますが、それでもいいと思っています。それにカミさんは僕が農業をやりたいということを理解して応援してくれているので、その気持ちだけでも嬉しいんです。でも、いよいよ農業で食えなくなったらトラックの運転手でも何でもしてね・・・なんて言われているから、良い結果を農業で出さなくちゃいけないなあと思っています。
ミ)
でもこの間、パパになって、それも初めてのお子さんが双子だから、さぞ育児が忙しいでしょ?
岡)
そうですね。でも自分のペースはあくまで畑中心で基本的にはあまり変わっていないんですよ。朝など子供たちの食事の世話をしたりしていると、あっと言う間に時間が過ぎてしまい、おちおちしていると畑に行けなくなっちゃうから、適当に切上げてます。本当に育児ってキリがないんですよね。でもその分、夜は子供たちをお風呂入れたり一緒に食事したり、いろいろやっていますけど・・・。
ミ)
子供が生まれたことで、自分の中で何か変化がありましたか?
岡)
子供たちが大人になった時、どんな社会になっているのだろうかということをよく考えるようになりました。今より経済効率優先の社会になってしまったら嫌だなあと思います。それに、お金が第一で金さえあれば何でもできるという発想はしてほしくないですね。そういう社会のシステムの中で、働き蜂のように働き続けてクタクタになって消耗してしまうような生き方ではなく、自分のやりたいことを見つけて、一人一人が楽しく生きていけるような社会になっていけばいいなと思っています。
ミ)
それは岡田君自身もそういう生き方をしていきたいということですよね?
岡)
はい。お金はもちろん欲しいけど、大金持ちになりたいわけではない。お金があることで失ってしまうこともあると思っているから。それに、お金を稼ぎたいという欲求にはキリがないでしょう?家族が健康で楽しく好きなことをしながら暮らしていきたいし、そういう価値観を共有できる人たちとつながっていきたいと思っています。
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