茨城県鉾田市 村上 喜一さん

独特のうま味と食感で多くの人たちを魅了するなめこ。逸品を生産するまでの奥深さをひとたび知れば、食卓に笑顔がまた一つ増えます。じっくりと熟成させて育てた、とびきりのなめこを皆さんにお届けしている村上喜一さん。作物の声、自然からのメッセージに全ての感覚を開きながら何度も食べたくなるなめこを作り続けています。より多くの皆さんに喜んでいただきたいとの思いが込められたなめこづくりの現場を訪ねました。

育てる土から、もう香ばしい!

なめこの栽培施設から勢いよく上がる白煙。庭先に積み上げられた木くずからは、ほんのりといい香りが漂ってきます。
深い森のなかに分け入ったような、くつろいだ感じ。自然の声に耳を傾け、自然に近い状態で栽培する村上さんの姿勢が施設全体を包む空気にも現れているようです。
さわやかな香りを発しているのは、ブナとナラ。この木くずに米ぬか、フスマを混ぜ合わせたものがなめこを育てる土となり、うま味のもとにもなるのです。育てる土から既に香ばしい!
施設のなかでは、したたるばかりにおいしそうななめこがずらり。つややかな色合い、心地よい食感、凝縮されたうま味・・・。村上さん独自の技が随所に加わり、ひと味もふた味も違った、とびきりのなめこを皆さんにお届けしているのです

夫婦でナメコを丹精して育てる村上さん夫婦。(写真上)/滋味豊かなナメコを育てる土のもととなる木くず。ふんわりといい香りが漂っています。(写真下)
体も心も喜ぶ鮮度とおいしさ
お客さまにできる限り新鮮なものを食べていただくため、とれたてのものを石づきで出荷します。

「新鮮な状態が一番おいしい。体はおいしいものを欲しがっているんだ。本物はいかに価値があるかということを分かってほしいね」
と村上さん。
なめこの魅力をあますことなく伝え、味わい尽くしていただくため、柄の堅い部分をつけた石づきのまま出荷。しかも水洗いせずに堪能することができるため、鮮度抜群のなめこのとりこになるお客さまも多くいます。

水分を抑えてうま味を「ぎゅっ」と凝縮

こうしたとびきりの品質は、じっくり時間をかけて生み出されます。通常は菌を植え付けてからおよそ60~70日で出荷。ところが村上さんは90日もかけて育て、至る所に工夫を凝らしています。
芽が出てからは水分を抑え、なめこの身を緻密にしてうま味を「ぎゅっ」と詰め込みます。水を多く与えてしまうと、うま味や香りを逃がしてしまうそうです。 「なめこが育つ自然界では晴れた日が雨の日より多いから」というのが水分を抑える理由。
さらに施設内に納豆菌、麹菌といったなめこの成長を阻む菌が持ち込まれないよう、納豆などを食べることを控える徹底ぶり。
「試行錯誤の末に現在のやり方にたどり着きました」と村上さんは振り返ります。

こうして「熟成」させたなめこに「今まで食べたなめことはうま味とプリプリ感が全然違うね」、「天ぷらにすると子どもがどんどんご飯をお代わりするんですよ」と、皆さんから絶賛の声が寄せられています。

収穫間近のプリプリとしたナメコに思わず手を伸ばしたくなります。(写真上)/味噌汁などのほか天ぷらにして食してもうれしい逸品です。(写真下)
愛情たっぷりの逸品にうれしい舌鼓
お客さまのために、まだまだ品質の高いなめこづくりに力を尽くす村上さん。

皆さんに逸品をお届けしている村上さん。
より品質の良いなめこづくりに向け「まだまだ考える余地とやるべきことはある。おいしいものが出来上がる過程で自然界ではさまざまなものが精妙に働いて互いに作用し合っている。農業は本当に奥が深く、これで完成ということはないよ」といっそうの努力を続けています。
村上さんの愛情が注がれた、安心で味わい深いなめこ料理のオススメは定番の味噌汁のほかに天ぷら、どんぶりなど。これらに舌鼓を打てばすぐに食卓は華やいで、笑顔が広がります。
「すべてのものとのつながりのなかでいい物はできるんだ。目には見えにくい部分が大切」。40年以上にわたってなめこづくりに力を尽くしてきた村上さんの探求心とお客さまを思うこころに、気持ちが引き締まる思いでした。

今回、取材させていただいた村上さんのなめこづくりにかける真摯な姿勢に深く共鳴しました。経験に裏打ちされた一言一言にお客さまへのメッセージがあり、より良いものを作ることへの揺るぎない信念を垣間見ることができました。私の家族ともども、なめこの天ぷらを口にして間もなく、「これはおいしい!」と次々に箸を伸ばしました。村上さんのこころと匠の技で生み出された逸品を、ぜひ体感してくださいね。
取材者:松本 和直
年月日:2009年2月10日

 
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