なめこ 村上喜一さん

茨城県の鉾田市にあるなめこ工場「常陸野きのこ園」の村上さんは、安心して食べられるヘルシーななめこを40年も菌床栽培している大ベテランなんですよ。なめこの意外な食べ方や保存方法も教えてもらいましたよ。

茨城県鉾田市 村上喜一さんのなめこ工場に来ています。
村上喜一さん
村上喜一さんにお話をうかがいました。40年の大ベテランです。

工場
早速、なめこ工場を案内していただきました。

ミレー風子)
こんにちは~。しめじや舞茸の工場には行ったことがあるのですが、なめこ工場の取材は初めてなのでいろいろ教えてくださいね。

村上)
なめこはモエギタケ科のスギタケに属しているきのこです。うちではずっとこの工場でブナやナラのおがくずを使って菌床栽培をしているんですよ。

ミ)
なめこを植える菌床はどのようにして作るのですか?

村)
水分と栄養をバランスが整った床を作るために、おがくずとふすまと米ぬかなどに水分を加えて攪拌(かくはん)します。うちでは薬剤での殺菌処理を一切行わずに、プラスチックのボトルに詰めた後、7時間ほど蒸して菌床を殺菌します。その後、菌床が冷えてからなめこの菌を接種します。

ミ)
菌を植え付けてから、生育の工程によって部屋を移動させていくのですか?

村)
そうですね。最初は培養室に入れます。ここは15度から20度の室温で、フタをしたままほぼ2ヶ月半置いておくんです。

ミ)
フタをしたままで大丈夫なんですか?

村)
この段階ではまだ芽が出ていないので大丈夫です。フタが閉まっていても酸素はあるので、ボトルの中で目には見えないけれど、着実になめこ菌が活動しているんですよ。

ミ)
次の段階ではどの部屋に移動するのですか?

村)
次はもう少し温度が低い発芽育成室(発成室)に移します。ここではフタをあけて1日おきに水を与えます。蛍光灯を一晩中つけておいて、10日から2週間たてば立派ななめこが収穫できます。

おがくず
菌床にはおがくずとふすまと米ぬかなどを使っています。

プラスチックのボトル
なめこはプラスチックのボトルの中で育ちます。

ミ)
なめこが育つまでほぼ3ヶ月の時間が必要なんですね。しめじなどと比べると随分、生育の遅いきのこなんですね。

村)
なめこの生育は気温の影響を受けやすいんです。たった1度、部屋の温度が変わっただけでも生育期間が変わってきます。部屋の温度は機械で調整しているのですが、やはり冬場の生育は遅いですね。秋や春は早いんですよ。

石づきをつけたまま出荷しているので、歯ごたえがあって美味しいです。
工場内
工場内のラックには、なめこがずらりと並んでいます。

ボトルで育つなめこ
立派に成長したなめこです。
ミ)
この発成室でなめこが収穫されるのですね。

村)
そうです。うちでは、スーパーなどでよく見かける水洗いしてパックに詰めたものではなく、石づきをつけたまま出荷しているので、歯ごたえもあって美味しいですよ。

ミ)
菌床栽培の場合、工場内の細菌など衛生管理が大変ではありませんか?

村)
工場内を無菌状態にするなんてことは全然考えていないし無理なんです。人間が生きている以上、たくさんの菌が身の回りにいるからです。でも納豆菌や麹菌などの強い菌が入ってくると、なめこ菌が負けてしまうので、そういうことには気をつけています。だからうちの女房は納豆を食べないんですよ。

ミ)
この前、醤油工場に取材に行った時も、温度が高くなって納豆菌が発生すると醤油麹が負けてしまうと聞きました。納豆菌って強いんですねえ。

村)
昔から、庶民は自分達で培養しやすい菌を利用して、味噌や醤油や納豆を作ってきたんです。繊細な管理が必要な菌だとしたら利用できないでしょう?

ミ)
この菌床は、なめこを収穫した後、また使うのですか?

村)
使おうと思えば使えるのですが、いつも全部入れ替えています。収穫の終わった床は地元の農家さんが畑の肥料として使ってくれています。

ミ)
なめこの栄養についても教えていただけますか?

村)
なめこは90%以上が水分なのですが、表面のゼラチン質のぬめりはムチンと呼ばれているもので、里芋や納豆、オクラなどにも含まれている成分と同じです。このムチンは疲労回復に効果があり、でんぷんの分解酵素であるジアスターゼやアミラーゼの成分を含んでいるので、胃潰瘍や胃腸病の予防にもなり粘膜を保護してくれるんですよ。

ミ)
全体的にきのこはヘルシーで食物繊維も豊富ですものね。

村)
なめこの場合、水溶性の食物繊維なので、発がん性物質やコレステロールなどを吸着して排出するし、血液をサラサラしてくれる効果もあるそうです。

ミ)
いいことづくめですね~。でもなめこのお料理は、なめこ汁やなめこおろしくらいしか思い浮かばないのですが・・・。

村)
天ぷらにしても美味しいし、里芋などの野菜と一緒に煮物にしてもいいんですが、そういう料理方法があまり知られていないので残念です。

料理にもいろいろと使えます。しかも栄養満点です。ぜひご賞味ください。

ミ)
なめこが天ぷらにできるなんて初めて知ったのですが・・・。

村)
水気をよくふいてから片栗粉をまぶすだけでもいいし、天ぷら粉を薄めにして溶いたものでも大丈夫です。コツはサッと揚げること。また石づきを取ってバラバラにほぐして冷凍もできるんですよ。その場合、解凍せずにそのまま味噌汁などに入れてください。

ミ)
なめこが冷凍できるなんて、これもまた初めて知りました。意外な感じですねえ。ところで、なめこを料理する時に水洗いする人としない人がいるのですが、どちらがいいのですか?

村)
なめこの旨みが表面についているので水洗いはしない方がいいです。でもなめこおろしなど、そのまま食べる場合はさっと湯通ししてください。加熱することによってアクが抜けて美味しくなりますよ。面倒だったら電子レンジでちょっと加熱するだけでもアク抜きになります。

ミ)
なめこの栽培の仕方だけでなく料理方法までいろいろ教えていただいて、とても参考になりました。最後にミレーのお客様に一言お願いします。

村)
今の農業は、効率よく野菜を作るために農薬をたくさん使って野菜を作る事が多いです。自分の作った野菜をどんな人たちが食べているのか知らない農家もたくさんいます。そういう農家とそうでない農家との見分けがきちんとできるように、消費者の人たちも勉強する必要があると思いますよ。誰に食べてもらっても恥ずかしくないような野菜を作る農家が増えてほしいし、また、そんな農家のことを知ってほしいと思っています。

出荷間近のなめこ
栄養いっぱい、出荷間近のなめこです。


なめこアップ
いろいろな料理に使えますし、冷凍保存も可能で便利です。


なめこと大根の煮物
なめこと大根の煮物を作ってみました。
ミ)
ミレーはインターネットで野菜を販売しているので、直接お客様が農家さんと会う機会はありません。その分、メルマガなどを通して少しでもお客様に農家さんのお顔や思いが伝わるようにしていきたいと思っています。今日はどうもありがとうございました。村上さんの作っている安心して食べられるなめこも皆さんに知っていただけるように、しっかりとメルマガに書かせていただきますね!
風子

今回、取材に行って、なめこが天ぷらや炒め物などいろいろな料理にアレンジできる素材だということがわかりました。皆さんもプリプリと美味しい村上さんのなめこをいろいろなお料理にお使いくださいね!絶品ですよ~!

取材者:川端 えい子(風子)
年月日:2007年3月2日
 
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