ぐぐんっとあまい梨

香取市(旧栗源町)にある「牧場梨園」の佐藤一徳さんの取材は2年ぶり。今回で3回目になります。毎年、梨園の中でお話を伺いながら、その場で梨を丸かじりさせていただくのがとても楽しみでした。佐藤さんの梨は、「幸水(こうすい)」「豊水(ほうすい)」「新高(にいたか)」と、3種類の梨が少しずつ時期をずらしながら順番に収穫されます。取材に伺ったのは幸水の収穫の真っ最中。さて、今年の梨はどうだったでしょうか?

みずみずしい秋のあまさ。梨の生産者 佐藤 一徳さんです。

ミレー風子)
こんにちは~。お久しぶりです。今年は暑かったから梨がどんどん甘くなっているのではありませんか?

佐藤一徳さん)
そうだね。うちの梨は甘すぎるんじゃない?って言われるほど甘いからね~。暑かった分、幸水の生育も早くて、もう終わってしまいそうだよ。この後、豊水が始るんだけど、豊水も美味しくできたよ。

ミ)
病気などもなく順調に生育したのでしょうか?

佐)
それがね、ちょっと今年は病気が多いみたいなんだよ。成長期に雨が多かったから、湿度が高くなって、カビの胞子が繁殖しやすくなっちゃったんだよね。それで黒星病と言う表面に黒い斑点のようなものができる病気にかかってしまったものがあるんだ。

ミ)
黒い斑点が出ると食べられなくなってしまうのですか?

佐)
そんなことはないよ。黒い部分がちょっと固くなっているけれど、皮をむく時に、そこだけ取ればいいんだからさ。

ミ)
それ以外ではどうでしたか?

佐)
あとはウルミと言って、甘すぎて中が透明になってしまう梨が多いね。これは7月上旬が低温だったせいだと思うんだけど、梨にとってはあまり良いことではないね。細胞がゆるくなっているから、そのままにしておくとどんどん実が発酵してしまうんだよ。そこからエチレンガスも出しているから、近くに植わっている梨にもウルミが出てしまうんだ。

佐藤一徳さん
香取市で梨を生産している、佐藤一徳さんです。

梨園の様子
梨園に入ると大きな実がたくさん下がっていました。

梨の黒い斑点
一部の梨は黒い斑点がでる黒星病にかかってしまいました。
今年もだしがきいた肥料で美味しく実りました。
梨をもぐ佐藤さん
「この辺の梨をちょっと食べてみなよ」と、梨をもぐ佐藤さん。

大きな梨
大きくてよい形の梨です。

ミ)
佐藤さんの梨は薬をかける回数が少ないから、害虫や病気などの対策が大変ですね。

佐)
そうなんだよね。必要最低限の薬しか使っていないし、収穫の1ヶ月前からは一切散布しないって決めているからね。今年はちょっと薬をかけるタイミングを逃してしまったせいでもあるんだよね。初期の頃に順調だったので、もしかしたら薬も一回分減らせるかなあなんて思って、かけずにいたのがいけなかったのかもしれないね。予防をきちんとしておかないと、病気が発生してから、薬をかけてももう遅いんだよね。まあ、この辺の梨をちょっと食べてみてよ。

佐藤さんに梨をもいでくださったので、風子は梨園の地面に座って、穫れたての梨を丸かじりしました。

ミ)
うわ~美味しい!今年もまた甘くてみずみずしくって美味しい梨ができましたね!とても病気が多く発生している状況だなんて思えないです。

佐)
もちろん全部が病気になっているわけじゃないからね。だけど出荷できる量はちょっと減るかもしれないよ。この暑さのせいか、全体的に熟すのがとっても早いんだよ。

ミ)
この甘さの秘訣は「だしがきいている肥料」だということですが、もう一度肥料について教えていただけますか?

佐)
うちは化学肥料や除草剤は使ってないからね。うちで使っているのは有機肥料なんだよ。そのうちの一つは、ウィスキーの醸造過程で出る絞りかすのエキスを米ぬかに吸着させたもの。これは甘さを出すと言われている肥料で6月上旬に入れるんだよ。もう一つは魚のたんぱく質のエキスを米ぬかに吸着させたものなんだ。こちらは味のコクを出すと言われている肥料で、7月上旬に入れているんだ。

糖度は13度以上。本当に甘いです。ぜひ食べてください。

ミ)
今年から直売所のお店番もやっていらっしゃるそうですね。

佐)
そうなんだよ。親父が年をとってきたから、私がやっているんだけど、店番をしながら梨園の様子を見に行ったり、選別して出荷したりしなければならないからね、今の時期はすごく忙しいんだ。だけど、直売所には毎年買いに来てくれる人もいるから、やっていると嬉しいねえ。

ミ)
梨の収穫作業の方はどうされているんですか?

佐)
収穫するのはパートさんに任せているんだど、その前後の準備は全部一人でやらなければならないから、今は毎朝4時に起きても仕事が追いつかないくらいだよ。この前なんか、あんまり早いうちから梨園で仕事してたら、見回りのお巡りさんに名前と住所を聞かれちゃったよ。

牧場梨園
梨園の名前は「牧場梨園」です。

直売所に立つ佐藤さん
直売所に立つ佐藤さん。何かと大忙しです。

ミ)
佐藤さんの梨園なのにおかしいですね。でも、暗いうちから仕事をしてたらやっぱり怪しまれるかも・・・? 前の取材の時は、近くで梨園をやめた方の畑も借りて、どんどん規模を拡大しているとおっしゃっていましたが・・・。

佐)
今まではたくさん作りたかったから、いろいろな人の梨園を引き継いできたけど、もう体力的にも限界だね。これ以上はできないから今はもう拡大しない方向でいるんだよ。

梨
糖度は13度以上。本物の甘さです。

梨のポンチ
佐藤さんの梨でポンチを作りました。素材の甘さが引き立ちます。

ミ)
梨園は大変なお仕事ですか?

佐)
そうだね。害虫や鳥対策でネットを張っているでしょ?上が低い分、首を曲げたり腰をかがめたりするから、体もきついよね。

ミ)
今年の梨の糖度の方はどうですか?

佐)
一般に「甘い」と言われる梨の糖度は12度なんだけど、今年のうちの幸水は13.5度くらいあったよ。豊水になったらもっと上がると思うよ。病気が出てしまった部分もあったけれど、今年もまた美味しい梨ができたので、皆さん、たくさん食べてくださいね。

風子

もう3度目の取材なのですが、何度来ても佐藤さんの梨の美味しさには感動してしまいます。風子は毎年、佐藤さんの梨がその年の初物になるので、いつも出始めが待ち遠しいんです。とびきり甘いうえに「旨い」佐藤さんの梨を皆さんもぜひお召し上がりくださいね!

取材者:川端 えい子(風子)
年月日:2007年8月25日
 
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