ミ)
向こうに牛がいますが、新藤さんは牛も育てていらっしゃるのですか?
新)
畜産をしながらお米も作っています。だからうちのびわは牛糞とワラを堆肥のように木の根元に敷き詰めています。それによって木の根元がいつも適度な水分を保ち、土もふかふかになっていくようです。
ミ)
牛糞をびわの堆肥にするなんて、いいリサイクルですね。
新)
はい。それにうちの牛には木から落ちてしまったハネダシのびわを丸ごと食べさせていますよ。案外甘いものが好きみたいで喜んで食べてくれます。
ミ)
果物は化学肥料を使って味を良くすることが多いそうですが、新藤さんは昔から牛糞を入れてびわを栽培していたのですか?
新)
いいえ。たまたま飼育している牛の糞を使ったらどうかと、びわの木の下に入れてみたら、少しずつ大きなびわの実が育つようになったんです。堆肥の効果かどうかはわかりませんが、その後、土壌検査をしたら化学肥料も使っていないのに、チッソ、リン酸、カリのバランスがとてもよくなっていることが判りました。
ミ)
今年のびわの収穫は、もう始まっているのですか?
新)
今年はここへ来て気温も上がらなかったし雨も多かったから、例年よりも1週間ほど生育が遅れています。早くから出回っているびわは、ほとんどがハウス栽培だと思いますよ。
ミ)
びわにハウス栽培があるなんて知りませんでした。露地のものと味は違うのでしょうか?
新)
ほとんど違わないという人もいるけれど、やはり山の斜面でお日様の光を浴びて育ったびわの方が美味しいと思います。
ミ)
収穫する時は紙袋しか見えないようですが、どうして中のびわが熟しているかどうか分かるのでしょうか?
新)
実が袋の中で大きく育つにつれ、だんだん袋が実の重みで真下を向いて下がってくるんです。それを探しながら収穫します。カラスなんかは袋の上から匂いをかいで、熟しているかどうかわかるらしくて、ちょうどいいものを狙って袋を破って食べてしまうんですよ。
ミ)
カラスに見つかる前にちょっと早めに完熟していないものを収穫してしまうことはできないのですか?
新)
それは無理ですね。なぜならびわは収穫した後に追熟できない果物だからです。だからどうしても木になったままの状態で、ちょうどよくなるのを待っているしかないのです。
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