生産者の紹介
南房総のあたたかな日の光を浴びて育ったベテランびわ農家の 無農薬 房州びわ

千葉県で作られるびわは「房州びわ」と呼ばれています。生産高ではなんと長崎県に次ぐ全国第2位の名産地なんです。新藤さんはそんなびわを無農薬、無化学肥料で栽培している大ベテランの農家さんです。

房州びわの生産者、南房総市の新藤廣さんにお話を伺いました。

ミレー風子)
こんにちは。私はびわのことは何も知らないので今日はいろいろ教えて下さいね。来る途中、あちこちに白い花の咲いている木があるなあと思いながら車に乗っていたのですが、あれはみんなびわの木に下がっている白い袋だったのですね。

新藤さん)
びわは実が柔らかいので、風に当たるとすぐ傷ついてしまうでしょう?だから収穫まで紙の袋をかけて大切に育てていくのですよ。

ミ)
いつ頃から袋かけをするのですか?

新)
11月から12月頃に黄色がかった白い花が咲くのですが、その花が落ちた後、花の下にふくらんで小さな出ベソ?のような青い実ができるんです。そのびわの実がちょっと大きくなった3月頃からほぼ1ヶ月かけて袋かけをし、収穫するまで袋はつけたままなんですよ。

ミ)
青い出ベソ全てに袋をかけるのですか?

新)
全部の実を残すと、びわが大きく育たないので、一本の枝になっている5~6個の実の中から一つだけを選んで、あとは摘果します。

 実は早川店長が、先日、新藤さんのお宅に伺った時、ほんの少しだけこの袋かけの作業をお手伝いしたそうです。中が黒いワイヤー付きの紙袋を小さな実にかぶせ、上の部分をワイヤーで縛っていくのですが、かなりやりにくくて大変だったと言っていました。

南房総市 新藤廣さん
南房総市でびわを育てている、新藤廣さんです。

袋がかかったびわ
びわの実には、3月ごろから収穫まで袋をかけておきます。

袋の中
びわにかぶせる袋の中は、黒色です。袋は上部をワイヤーで縛りますが、これが結構手間のかかる作業です。

ミ)
びわの木は昔から薬草としても重宝されてきましたが、木自体も丈夫なのでしょうか?

新)
比較的丈夫だと思います。葉っぱも固くて強いから、あまり虫にやられることはないのですが、たまにアブラムシによって葉の裏から養分を吸われてしまうこともあります。それより心配なのは、湿度が高くなりすぎて、木の根元に白いカビが発生してしまう病気になることです。そうなったら木を切り倒すしかありません。

接ぎ木して一年目のびわの木
接ぎ木して1年目のびわの木です。

ミ)
びわの木は種を発芽させて大きく育てるのですか?

新)
種から育てる木を「実生(みしょう)」と言いますが、それだと実が成るまで15年ほどかかってしまうので、実生で育てたびわの苗をびわの木に接ぎ木して育てます。

ミ)
びわの苗をびわの木に接ぎ木するのですか?面白いですね。その後何年くらい木の寿命があるのでしょうか?

新)
びわは丈夫なので病気にさえならなければ、50~60年の間、毎年実をつけてくれます。

牛糞とワラを使った自然の堆肥を使っています。

ミ)
向こうに牛がいますが、新藤さんは牛も育てていらっしゃるのですか?

新)
畜産をしながらお米も作っています。だからうちのびわは牛糞とワラを堆肥のように木の根元に敷き詰めています。それによって木の根元がいつも適度な水分を保ち、土もふかふかになっていくようです。

ミ)
牛糞をびわの堆肥にするなんて、いいリサイクルですね。

新)
はい。それにうちの牛には木から落ちてしまったハネダシのびわを丸ごと食べさせていますよ。案外甘いものが好きみたいで喜んで食べてくれます。

ミ)
果物は化学肥料を使って味を良くすることが多いそうですが、新藤さんは昔から牛糞を入れてびわを栽培していたのですか?

新)
いいえ。たまたま飼育している牛の糞を使ったらどうかと、びわの木の下に入れてみたら、少しずつ大きなびわの実が育つようになったんです。堆肥の効果かどうかはわかりませんが、その後、土壌検査をしたら化学肥料も使っていないのに、チッソ、リン酸、カリのバランスがとてもよくなっていることが判りました。

ミ)
今年のびわの収穫は、もう始まっているのですか?

新)
今年はここへ来て気温も上がらなかったし雨も多かったから、例年よりも1週間ほど生育が遅れています。早くから出回っているびわは、ほとんどがハウス栽培だと思いますよ。

ミ)
びわにハウス栽培があるなんて知りませんでした。露地のものと味は違うのでしょうか?

新)
ほとんど違わないという人もいるけれど、やはり山の斜面でお日様の光を浴びて育ったびわの方が美味しいと思います。

ミ)
収穫する時は紙袋しか見えないようですが、どうして中のびわが熟しているかどうか分かるのでしょうか?

新)
実が袋の中で大きく育つにつれ、だんだん袋が実の重みで真下を向いて下がってくるんです。それを探しながら収穫します。カラスなんかは袋の上から匂いをかいで、熟しているかどうかわかるらしくて、ちょうどいいものを狙って袋を破って食べてしまうんですよ。

ミ)
カラスに見つかる前にちょっと早めに完熟していないものを収穫してしまうことはできないのですか?

新)
それは無理ですね。なぜならびわは収穫した後に追熟できない果物だからです。だからどうしても木になったままの状態で、ちょうどよくなるのを待っているしかないのです。

新藤さんが育てる牛
新藤さんは牛も育てています。牛糞はワラと一緒に堆肥として使っています。

早川店長と牛
木から落ちたハネダシのびわは、牛のえさにもしているので、無駄がありません。おいしいびわを食べている牛に、早川店長もすこしうらやましそう。

堆肥
堆肥が敷かれたびわの木の根元。自然のものを使っているので、栄養のバランスがいいんです。

山の斜面で育つびわ
山の斜面はよく日が当たり、びわが元気に育っていました。

袋の中でで育つびわの実
実が育つにつれて、袋が実の重みで真下をむいて下がってきています。

ミ)
この辺りはびわの名産地ということですが、どのような条件がびわを美味しくしてくれるのでしょう?

新)
この房総の温暖な気候がいいのでしょうね。それと水はけの良い傾斜地がいいようですね。甘酸っぱくてみずみずしい果肉の「房州びわ」は美味しさにも定評があり、皇室にも献上されているんですよ。

冷蔵庫に長時間入れないで、なるべくすぐに食べてくださいね。

ミ)
個人的にびわはとても好きなのですが、かなり高価なのであまりたくさん食べることができません。ずばり、どうしてびわは高いのでしょうか?

新)
小さな実に一つ一つ袋かけをしたり、車の入りにくい山間部で栽培したりしているので、作るのに人の手がとてもかかるからでしょう。また柔らかくて傷つきやすいので、とてもロスが多いのです。一軒の農家でもそんなにたくさん作れるものではありません。だからどうしても高いものになってしまうのだと思います。

ミ)
最後にミレーのお客様に何か一言お願いします。

新)
1年に一度の短い旬ですので、美味しいびわを美味しく食べてほしいですね。冷蔵庫にはあまり長い時間入れないで、なるべくすぐ食べてください。食べ終わった種を焼酎につけておけば、虫刺されややけどに効くびわエキスができますよ。葉っぱもお風呂に入れられるし、お茶にもなるし、びわには無駄がないんです。

新藤さんと早川店長
新藤さんからびわについての説明を聞く、早川店長。びわは栽培に手がかかり、たくさん生産できるものではないそうです。

完熟したびわ
びわの旬はとっても短いんです!ぜひお召し上がりくださいね。
川端えい子(風子)

新藤さんのびわ畑は、草も生えているし、土もふかふかで気持ちがいいのですが、その分、斜面なので足元が悪いです。こういう場所で木の高い所になっているびわをもいだり、世話をしたりするのは、ご高齢なので本当に大変なお仕事だと思いました。いつまでもお元気で美味しいびわを作っていただけると嬉しいです。新藤さんが一生懸命作ってくださった全国第2位の生産高を誇る千葉県の美味しい「房州びわ」。ぜひお試しくださいね。

取材者:川端 えい子(風子)
年月日:2008年5月17日
 
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