ミ)
石窯はご自分で作ったのですか?
シ)
そうだよ。耐火レンガを耐火モルタルを使って積み上げながら、ふた夏かけて完成させたんだ。でもモルタルは雨が降ると流れてしまうから、中々作業がはかどらなかったけどね、別に急ぐわけでもないから、いいかと思ってゆっくり作っていたんだ。
ミ)
やはり石窯のパンの方がおいしいんですか?
シ)
石窯のほうが遠赤外線効果でおいしく焼けるよね。いつもは電気オーブンで温度を設定して焼くから間違いがないでしょ?でも石窯だと火加減が一定ではないから、手で温度を見ながら調整していくので、とても手間がかかるし焼くのに気を使うね。
ミ)
石窯のパンを焼いて、ミレーでも販売したらみなさんに喜ばれるんじゃないでしょうかね?
シ)
そうは思うけど、実際には数が焼けないんだよ。今もせいぜいカンパーニュが一日に8個焼ける程度なんだ。焼き上がるのにとても神経を使うので、一度にたくさんは焼けないしね・・・。
ミ)
ずいぶん、しっかり火がおきていますが、さっき、火をつけたのですか?
シ)
石窯の場合は、長く火をつけておくとじっくり窯全体が温まるので、実は昨日のうちに火は入れておいたんだよ。同じ焼くにしてもその方がおいしく焼けるからね。
ミ)
昨日から火をつけていたなんて、やっぱり手間がかかるものなんですね。
シ)
オーブンでパンを焼くと普通は外側から焼きあがるんだけど、石窯の場合はパンが中から焼けていくんだよ。そういうのも遠赤外線効果なんだろうね。温度は220℃~240℃くらいだと思うんだけど、ここで実際には計ったことはなくて、温度も手加減と焼き加減で判断しているんだよ。これからピザを焼く前に、朝、仕込んだカンパーニュを先に焼くよ。
・・・と言ってショパンさんはカンパーニュの生地を棒の先に乗せて窯に入れていきました。真剣な表情。この間は気が散るから話しかけないでと言われてしまいました。パンを入れ終わってからやっと質問ができました。
ミ)
おいしそうな生地ですね。中力粉だけですか?
シ)
ライ麦の全粒粉が2割入っている。後は塩と中力粉と水だけ。1次発酵が3時間、ベンチタイムが30分、それからカゴに入れて成形し2時間、2次発酵をさせたものを焼いているんだよ。
ミ)
何分くらいで焼けるのですか?
シ)
40分くらいかかると思うよ。
ミ)
けっこう時間がかかるのですね。
シ)
早く焼こうと思って火を強くすると、黒く焦げてしまうから、燠(オキ。おき火の事)にしてからじっくりと焼くんだよ。そろそろ焼けたから、今度はパンを取り出すよ。
取り出す時も入れた時と同じ棒を使って、手早くパンを出していきました。まさに職人の顔です。焼きあがったパンはそれこそフランスの片田舎にあるような素朴でどっしりとしていて、粉の味が生きているといったガンコな?カンパーニュでした。かごに並べた石窯焼きのカンパーニュはとってもおいしそう!
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