おいしいチーズ

千葉県の房総半島の真ん中あたりに位置する大原町は気候も温暖で海も近く、一年中、緑豊かで過ごしやすい土地です。1500坪の山林を開拓し、大原町にチーズ工房をオープンさせた駒形雅明さんにお話を伺ってきました。

 

千葉を選んだ決め手はおいしい牛乳です。

ミレー早川)
こんにちは。とても広大な敷地で果物の木がたくさん植えてある素敵な場所ですね。この工房も手作りでかわいい。今日の取材はとても楽しみにしてきたんですよ。

駒)
こんにちは。チーズと言うのはどの国に行っても、味や形、風味、固さが違うんですよ。また熟成の段階によっても全く味が変わってくる本当に不思議な食べ物なんですね。すっかり私はチーズの魅力にとりつかれてしまい、ここに工房を開いて5年になります。

ミ)
日本でチーズ職人さんなんて、全国的にも珍しいのではないのですか? そんな方がこの千葉県にいらっしゃったなんて驚きですね。駒方さんはどういうきっかけでチーズ作りを始めたのですか?

駒)
私は長野生まれで、もともとは乳製品の工場の製造ラインを設計する技術屋だったのです。だから乳製品は常に身近にありました。千葉は酪農がさかんで北海道に次ぐ酪農県ですからね、新鮮でおいしい牛乳がたくさん手に入るのです。おいしいチーズの条件は何と言ってもおいしい牛乳ですから。それでいろいろ住む土地を探したのですが、牧場も近くにあるし、海にも近いし気候も温暖なのでここがいいかなと思い、ここでチーズを作ってみようと思ったのです。大原に移り住んで14年になります。裏にあった岩山をそのまま掘ってくり抜いて、チーズの熟成庫にしました。小型チーズを800個収容することができるんですよ。

ミ)
この岩山の熟成庫はすばらしいですね。フランスでもロックフォールという洞窟で熟成されたチーズなんかが有名ですものね。ミレーでもできるだけ千葉県内のいいものを全国にお届けしたいと思っているので、千葉にそんな方がいらしたとわかって嬉しいです・・・。

駒)
岩山はチーズを熟成させる環境としてとてもいいのです。チーズを熟成させるのに温度は5度に保ち、湿度も保てるようにしてあります。この場所でサラダ用のサラダチーズ、青カビ、白カビを使ったカビチーズプレスをした固めのチーズを熟成しています。ちょっと試食してみてください。

生産物:チーズ
所在地:千葉県大原町


チーズ工房フロマージュの手作り看板がお出迎えです。

 

駒形雅明さん
千葉のチーズ職人駒形雅明さんです。

 

田んぼ
工房からは田んぼが見えます。

 

敷地と果物の木
工房のまわりには広大な敷地と果物の木がありました。

 

ブルーチーズは濃厚な味ですが、とても食べやすいです。

ミ)
おいしいですね。濃厚な味がします。ブルーチーズは食べにくいのに、これならとても食べやすくてワインに似合いそうですね。駒形さんやっぱりワインはお好きなんでしょうね。

駒)
そうですね。もともとはワイン好きが高じて、チーズを作るようになったくらいですから。今でも4年に一度はヨーロッパを回って、おいしいワインとチーズを堪能してきています。ブルーチーズの若いものは辛口の白ワインに、熟成したものは赤ワインに似合うんですよ。

ミ)
こちらのサラダチーズは酸味があるのですね。

駒)
そうですね。一般に熟成させないチーズのことをそう呼んでいるんです。カッテージチーズやクリームチーズなんかもこのタイプですね。うちのフレッシュチーズも砕けばカッテージチーズとしてお使いいただけます。酸味のきいたトマトスープに入れたり、ママレードをのせたり、トマトピューレをかけて食べたり、いろいろな食べ方ができるんですね。サワーチーズに近い味です。

ミ)
なんだかチーズのある生活というのはとても贅沢な気がしますね。僕もワインとチーズを楽しめるようなゆとりのある暮らしをしていくことが夢なんです。ところでチーズというのはどうやって作るものなのですか?

駒)
チーズは原材料である乳が命ですからね、近くの牧場から分けてもらっている生乳をまず72度で低温殺菌します。低温だと生乳の風味が残り味もおいしいんですよ。その後、7種類の乳酸菌を入れます。これが「スターター」と呼ばれるものです。乳酸菌が乳糖を食べて乳酸を出し、この乳酸によって牛乳の中のたんぱく質が固まっていくのです。

ミ)
それではスターターを乳に入れればすぐチーズができるのですか?

駒)
いいえ。スターターを入れた乳を発酵させなければなりません。この時はまだPH(ペーハー)が6.8~7で中性なのです。チーズにするためには乳を寝かせてPH6くらいの酸性にしなければならないのです。さらにここに「レンネット酵素」というものを添加します。これは小牛の第四の胃袋から取り出したたんぱく質を凝固させる酵素です。これにより乳が凝固し、柔らかくて豆腐のような自然の甘さがある固まりになります。それからしばらくするとこの凝固したものが分離してくるんです。水っぽいものの方を乳清(ホエー)といい、凝固し沈殿している方をガゼインタンパクと言います。このガゼインを型に入れて固めたものがチーズです。

ミ)
ブルーチーズはその後に青カビを付けるのですか?

駒)
そうですね。ペンシリウムという純粋に培養されたカビを添加することによって、牛乳のたんぱく質や脂肪分を分解し、アミノ酸と風味が生まれるので、独特の旨みを持ったチーズになるのです。ただ酸素がないと熟成しないので真空パックしないで、岩の中で約2ヶ月以上、熟成させます。また長時間熟成させたハードタイプのチーズもあります。

 

 

建物
かわいらしい工房の建物です。

熟成庫の入り口
熟成庫の入り口です。岩の壁に木の扉、雰囲気があります。

 

説明する駒形さん
駒形さんが職人の顔つき、手つきで説明してくださいました。

 

ブルーチーズを切る
まずはブルーチーズを試食させていただきました。

 

ブルーチーズアップ
まわりは青カビ、なかは真っ白です。とても食べやすい味です。

 

フレッシュチーズ
サラダチーズは酸味があります。サワーチーズのようで料理に使えそう。

栄養豊かなチーズを召し上がってください。

ミ)
本当に全て手作りの本格的なチーズなんですね。チーズ作りをされていてどんなことをお考えになっていらっしゃるのですか?

駒)
日本ではチーズ職人があまりいないので、作る人と売る人がバラバラなのですが、ヨーロッパなんかは熟成屋さんというのまでいて、チーズの管理を徹底しています。ちょうどいい温度で保存していただいて、ちょうどよい食べごろに召し上がっていただけると嬉しいですね。だいたい4~5℃で保存していただければ3ヶ月くらいは持ちますよ。召し上がる時は室温に戻して、ちょっと柔らかくなってからの方がおいしいんです。

ミ)
固まるタイミングや熟成の度合いなど、チーズ作りにはいろいろ細かな気配りが必要なんですね。

駒)
そうですね。方法だけを知ってもできないでしょうね。固まり具合は指で触れてみますが、カンも重要ですし、熟成させる時間によって変化していく状態も把握していなければならないので、細かい作業もけっこうありますね。

ミ)
チーズ作りの道具なんかも手作りされているとか・・・。

駒)
市販されている型や道具もありますが、自分で使いやすいものを作ったりしています。この攪拌の道具もドリルの回転を利用して自分で作りました。代用できるものはいろいろなもので代用しています。

ミ)
青カビのチーズにも素敵な名前がついていますね。

駒)
青カビのチーズは「房総ブルーチーズ」と言います。ゴルゴンゾラ系のチーズですね。それと「房総ホワイトチーズ」と言うのは白カビのグルーペ系のチーズです。ちょっと赤みを帯びているのは人参を入れたチーズで牛乳の中のベータカロチンと人参の中のベータカロチンが合わさったものです。

ミ)
最後に皆さんに何か一言をお願い致します。

駒)
チーズは何と言っても新鮮な牛乳がおいしさの決め手ですから、私は明治時代から酪農をやっている近くの谷田牧場で生産された牛乳を使っています。自家産のエサにこだわり、温暖な地でおいしい牧草をたっぷり食べて育った元気のいい牛たちです。そこで搾られた質の高い牛乳を原料にしたチーズだから皆さんにも自信を持っておすすめできるんです。ぜひおいしいくて栄養豊かなチーズを食卓にどんどん取り入れていってくださいね。


駒形さんのお宅は広いお庭中、芝生が広がり、たくさんの樹木や花々が植えられていました。美しく管理されたとても気持ちのいい場所です。風子はチーズに関して知識があまりないのですが、さっぱりとして食べやすいものでした。同行した新入社員である中川氏は某デパートのチーズ売り場でチーズを買い求めていたというほどのチーズ党。試食を繰り返す中、「旨い旨い、ミレーに入ってよかった!」を連発していました。
チーズ通も納得する駒形さんの本格的なチーズ。みなさんもぜひお試し下さいね。まとめは風子でした。

取材:2004年7月23日

 

乳酸菌
7種類の乳酸菌を入れて、熟成させて、全て手作りで、本当に職人技です。

 

熟成中のチーズ
熟成中のチーズです。何を混ぜたか分かるようにメモがついています。

 

人参を入れたチーズ
人参をいれたチーズもあります。

 

湿度計
チーズは温度と湿度管理が大変重要です。

お試しください。
千葉産のおいしい牛乳をつかって作った栄養豊かなチーズをどうぞお試しください。

 
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