癒しの空間・天然洞窟の 天然アワビ・サザエ 千葉県勝浦市・渡辺一浩さん

「いいアワビやサザエをつくるには、アワビやサザエの気持になればいいんだよ」。
涼しげな表情でこのように話し、で漁師の真髄を体現している渡辺水産さんの渡辺一浩さん。天然アワビや天然サザエの気持ちになって育てている場所は――。
なんと千葉・勝浦にある鵜原海岸の天然洞窟です。天然アワビや天然サザエにとっては「癒しの空間」。 このように愛情をたっぷりかけて大事にアワビやサザエに接する渡辺さんを訪ねました。

3月、南房総市のびわ農家を訪ね、帰路に就く際、店長の早川が「勝浦の天然洞窟のいけすでアワビが休んでいるんだよ。これから行こう!」。
渡辺さんには事前になにも連絡せず天然洞窟を目指すこと1時間半。渡辺さんは、唐突な訪問にちょっと驚いていましたが「よく来たな」と言わんばかりに快く迎えてくださいました。
この全国でも稀な天然洞窟が佇む鵜原海岸は、千葉県内で最も美しい海として名高い場所。きれいなうえに養分たっぷりの海水を引き込める絶好の環境にあります。
天然洞窟は、外の環境の影響を受けにくく、水温が比較的一定に保たれるので、アワビやサザエの状態が良くなる条件がそろっているのです。
しかも天井からは滴り落ちる山の絞り水。ミネラルをたっぷり含んでいて水質向上に一役買っています。

生産者、渡辺さんのお話を聞く早川店長。(写真上)/いけすの中では、出荷を待つアワビたちがカゴの中で休んでいます(写真下)


海に潜ったり刺し網をかけて一度、捕獲されたものは粘膜などが傷つき、肌荒れのような状態になっています。
天然洞窟いけすの静かな環境で、きれいな海水に浸り、良質な餌を食べて傷を癒したアワビやサザエは、渡辺さんの入念な確認を経て、最高の状態で出荷されるのです。 自然の力を活用するとともに自然の理にかなった、究極の育て方なのです。

千葉の天然アワビとサザエが一番だよ!

肉厚で大きな、千葉県産アワビ(写真上)/「期待には応えるからさ」口にする一言一言に、ゆるぎない自信を感じます(写真下)

アワビとサザエは地元の漁師が「磯の王者」と呼ぶ逸品。
口のなかでふわっと広がる磯の風味。そして程よくやわらかく、もちもち感もあり、かむほどに増す旨みと甘みが食卓に花を添えます。
旨みを引き出すこの極めてユニークな天然洞窟をのいけすは、もともとあった洞窟を渡辺さんの父・実さんらが掘り進め、45年ほど前から活用しています。
この「癒しの空間」で大事に育てた≪磯の王者≫について渡辺さんは揺るぎない自信と誇りを持っています。
「千葉の天然アワビとサザエは身がしっかり詰まっていて天然洞窟でいい状態になっているので一番うまいんだ」 と話し、さらに「とにかく皆さんの期待にはこたえるので、いいものをお届けします」と語ります。

天性の勘と技術で極上の逸品に

渡辺さんのアワビやサザエを見分ける「眼力」は、幼少のころから育まれてきました。
自宅の目の前は、透き通るような海。
夏になると、朝から着替えて海に潜っては、アワビやサザエを獲る毎日でした。
海は、渡辺さんの心身を育てた生命の揺りかごだったのです。
「いいお小遣い稼ぎにもなったんだ」と渡辺さん。 捕獲したアワビ、サザエをどのようにしたら活きのいいまま持ち帰ることができるのか、いつも考えていたそうです。
「そうやっていつもアワビやサザエに接してきたから、いい状態かどうか感覚で分かるんだよ」
そう話す横顔は、ちょっと得意げで少年の面影を残していました。

渡辺さんの心身を育てた、勝浦・鵜原海岸。

皆さまのお手元に産地直送でお届けする、アワビやサザエは、渡辺さんが幼少から培ってきた独自の勘と技術で磯の風味が凝縮された極上の逸品なのです。
さらに、一年を通じて千葉・勝浦産のアワビを味わってほしいと4年前に地元の加工業者と一緒に「天然アワビの酒蒸し」も商品化。地元の酒造会社のお酒を使うなど原料にもこだわったもので、その酒造会社に「この酒蒸しを売らせてほしい」と言わしめた贅沢な逸品です。

アワビやサザエを育てることは、おれの天職

「アワビやサザエの元気な姿を見るとわくわくする」という渡辺さん。時には夢にみるほどに、アワビやサザエに強い思い入れを感じています。
アワビたちを元気な姿にして、皆さんに最高の状態のものを味わっていただくため、接する時も大事に扱います。たとえば、触わる時は傷つけないよう、手袋を着用するこだわりぶり。
このように徹底するのは、お客様の期待に応えたいという確固とした意志と共に、渡辺さん自身がこの仕事を「天職」と考えているから。
「俺はここに生まれて本当によかったよ。勝浦にはこんな素晴らしい食材があることを知ってほしいね」
現場に向かうため長くつに履きかえると、渡辺さんの目が途端に輝き始めます。
今日もここから、渡辺さん自慢のアワビたちがお客さまの元へ出荷されるのです。
渡辺さんの心意気が込められた、天然アワビとサザエ。勝浦の海より産地直送いたします。ぜひ、ご賞味ください!

海を見つめる渡辺さん。(写真上)/自慢のアワビとサザエ(写真下)


漁師町の心意気を感じた出来事でした。

勝浦の漁師町で暮らす方々のこころを示すエピソードを一つ。
磯に漂着したワカメを獲り終えたおばあちゃんを写真撮影していると、いきなり背中のかごからワカメを取り出してお土産に渡されました。漁師町の心意気の一端を垣間見た気がしました。さっそく湯がいてしょう油をつけていただくと、歯ごたえが良く磯の香りも広がり、うれしさがこみ上げてきました。じつは、天然洞窟のある鵜原海岸は、僕が幼少のころから夏に通い続けている場所です。その海も人も、どこまでも輝いています。

取材者:松本 一直
年月日:2009年3月31日

 
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