あまくておいしいいちごジャム

前回の取材の北総育成園のすぐ近くにある笹川なずな工房におじゃましてきました。北総育成園の母体である社会福祉法人さざんか会による知的障害者通所授産施設です。この2つの施設のある一帯を、さざんか会では「北総の里」と名づけ、障害を持った方たちが働いたり、生活していったりする場所にしています。朝、「今日、イチゴ園に行きますので、よかったら取材に来て下さい」というお電話をいただいたので、さっそく早川社長と風子の二人であま~い香りのするイチゴ畑に行ってきましたよ。

 

ビニールハウスの中はイチゴのかおりでいっぱいでした。

ミレー早川)
こんにちは。今日はご連絡ありがとうございました。さっそくなんですが、風子さんと二人でイチゴ摘みの様子の写真を撮ったり、お話をお聞きしたりしたいので、よろしくお願いしますね。

竹内)
こんにちは。どうぞ、ハウスの中にお入り下さい。こんな感じなんで、作業をやりながらになってしまうのですが、よろしくお願いします。

(社長と風子、イチゴのビニールハウスの中におじゃまする。あたりにはイチゴの香りがあふれ、なんとも言えない幸せな気分・・・。しばらく様子を見ながら、のんびりイチゴ摘みを手伝う)

風子)
あー、甘くっておいしいー!。立派なイチゴですねえ!真っ赤になって完熟そのもの。ああ、おいしい~。

ミ)
風子さん、食べてばかりいないで、ちゃんとイチゴ摘みを手伝って下さいよ~。

風)
あ、すみません。おいしさに感動してしまって、思わず食べ続けてしまいました。

ミ)
でもおいしいよねえ。僕、イチゴが果物のなかで一番好きなんです。春になったらどこかにイチゴ狩りに行きたいと思っていたので、嬉しいなあ・・・。
(・・・と言いながら、社長も我を忘れて食べ続ける・・・。風子はようやく思い腰を上げ?取材のための写真を撮り始めようとする)

風)
すみません。写真撮らせて下さーい!

利用者の方)
いいよ。はい。はい。こっち?どっから来たの?
(・・・といろいろお話しながら、愛想よくカメラの方を見てくれました。その後、風子はイチゴ畑を歩きながら、イチゴを摘んでいる利用者さんの写真を撮ったり、イチゴの写真を撮ったりと歩き回る。そうこうしているうちにイチゴを入れたコンテナがどんどん積まれていく)

生産物:イチゴジャム
所在地:千葉県海上郡東庄町

摘み取り作業
ハウスの中ではみんなイチゴの摘み取り作業をしていました。

 

イチゴを手にする早川社長
あふれんばかりのイチゴの香りに早川社長は大満足

 

イチゴ
完熟したイチゴだけ摘み取っています。

 

施設の女性
すぐに手が真っ赤になってしまいます。



ジャム用のイチゴは完熟したものだけを使っています。

ミ)
すごい量ですね。ここにあるイチゴをみんな摘み取るんですか?

竹)
いいえ~。近くのイチゴ園の方にお願いして、ここの完熟したイチゴだけを取らせていただくことにしているですよ。取らせていただくかわりに、イチゴを苗にそのまま置いておくと腐ってしまうので、それを取り除いてお掃除をしていくというお約束なんです。ここら辺ではイチゴの時期と田植えが重なってしまうので、イチゴ農家の方もお忙しいのでね。ちょうどその合間にお手伝いさせていただいているんですよ。青い未熟のイチゴは取らないで、次のお客様が収穫できるように残しておくんですよ。だから毎回、作業をする場所はイチゴ園さんの指定されたハウスで、量もいろいろなんです。

ミ)
だから青いイチゴだけが残っているんですね。それらはこれからまた赤くなって別のお客様が来てイチゴ狩りをするのですね。ところでどのくらい収穫するのですか?

竹)
1日で250キロくらいでしょうか。イチゴ摘みの日はボランテイアさんも一緒に来ていただいて、午前と午後、作業するんです。一番多い時はシーズン中に1,5トン収穫したこともあって、ジャムにしきれないくらいでした。ヨーヘー君、イチゴを投げないのよ。そっと入れないとつぶれちゃうでしょ。

ミ)
このイチゴは今日のうちにジャムになるんですか?

竹)
いえいえ、そんなにいっぺんには仕事ができないですよ。午後は二手に分かれて工房ではボランテイアさんが利用者さんと一緒にイチゴのヘタを取っています。今日のうちに洗ってヘタを取って、分量の1割分の砂糖をまぶして冷凍しておくのです。

ミ)
それだけあったら、随分たくさんのジャムができるんでしょうね。

竹)
でも5キロのイチゴがあってもジャムにすると15ビン分くらいにしかならないんですよ。ジャムって煮てしまうので、量がたくさんいるんです。

ミ)
どうやってジャムにするのですか?

竹)
冷凍したイチゴを解凍してから、さらに砂糖を加えて煮込みます。最後にレモン汁を加えるんです。添加物は何も加えていない、自然のままのジャムなんでおいしいですよ。

ミ)
ジャムにするのは工房の台所を使うんですね。工房は和風のとても清潔で落ち着いた建物ですよね。

竹)
施設長の思い入れで土蔵作りの民家風の建物にしたいというのがあったようです。平成14年にオープンしたのでまだ新しく、とても気持ちのいい施設ですね。和室もあるので利用者の方の静養室にもなっています。

ミ)
あの素敵な建物の中で利用者の方はどんな一日を過ごしていらっしゃるのですか?

竹)
全部で利用者は20人いるのですが、ここは通所施設なので皆さん通って来ています。軽度の方は自転車で通園している方もいます。朝9時ちょっと前に園に来て、朝礼では「こんにちは、ありがとうございます、おはようございます」と言ったあいさつの練習を毎日しています。それから午前の作業の後、昼食です。午後の作業の終わりは4時で4時半には帰ります。作業班は製パン班、農産加工班、紙工芸班の3つがあって、私たちは農産班なのですよ。このジャム作り以外にも2反の畑を借りているので、農作業も毎日あります。出荷する野菜ではなく自分たちの昼食用に作っています。

ミ)
野菜が自家用に作れるなんていいですね。ジャム作りのきっかけというのは何かあったのですか?

竹)
ここ東庄町はイチゴの名産地なんです。それで特産品を作るとき、地の利を利用しない手はないなあと思い、職員が地元の観光イチゴ園さんに相談に行って、イチゴ摘みをさせていただくことになりました。もちろんこのイチゴ園でもジャムは売っていて人気商品なんですよ。ジャムはイチゴの他、ブルーベリーやいちぢく、夏みかんなどがあるんですが、みな地元の農家さんのご協力があってできることです。

バケツいっぱいのイチゴ
ハウスの中は温かく、汗だくの作業です。

 

トレイで集めるひと
どんどん真っ赤なイチゴが集まっています。

 

イチゴがいっぱいのコンテナ
コンテナの中はイチゴでいっぱい。

 

コンテナを運び出す
車にコンテナを積み込んでいます。

 

ヘタ取りの準備
取ったイチゴのヘタを取ります。

 

イチゴのヘタを取る早川社長
早川社長も一緒に不慣れな手つきでヘタを取っています。

 

ヘタを取る施設の方
5キロのイチゴでもジャムには15ビン分にしかならないそうです。

 

土蔵作りの施設
施設は、ステキな土蔵作りです。



ジャム作りはイチゴの収穫から瓶詰めまで一貫してやっています。

ミ)
他の作業班の方はどんなお仕事をしているのですか?

竹)
紙工芸班は紙の民芸品を作っています。本物をやらせたいという思いからコウゾの木を育て紙すきをして紙を作り、干支や小物を作っています。工房の店頭販売でも紙人形を売っています。製パン班はクッキーやパンをパン職人さんに習って販売しています。店頭販売の他に町役場にも週に一回利用者さんと一緒にパンの販売に行きますし、道の駅などにはクッキーも置いています。けっこうおいしいと評判で喜んでいただき、地域の方も買いに来て下さるんですよ。

ミ)
とても和気藹々と楽しく作業しているように見えましたが、竹内さんもお仕事は楽しいですか?

竹)
はい。私も子供がいて、もう大きくなっているのですが、利用者さんとの関係を作る時、自分の子供だったらどう接しているかなと考えながら仕事をしています。ここはどんな作業でも職員と利用者さんが一緒にやるんです。口先だけで指示をしていても仕方ありませんから。一緒にやってみて、動いてみて、怒るときも真剣に怒ります。身をもってケンカしてみたり・・・。でもそれが楽しいですね。

ミ)
本当に体ごとぶつかり合っていると言う感じですね。皆さんが作業に関わっているので、障害の軽い方が多いのかと思ったのですが・・・。

竹)
いえ、確かに自転車に自分で乗って通園できる方が3人はいますが、みんな軽度というわけではありません。でも、作業はみんなでやりますし、どんな方でも何かしらは関わっているのですよ。

ミ)
最後にミレーのお客さまにお伝えしたいことが何かありますか?

竹)
ここは授産施設なので、皆さん働きにきて、お給料も毎月もらっているんです。だから心をこめて作ったものを、どんどん売っていきたいですね。特にジャムは収穫から作ることまで、皆さんと一緒に心をこめてやっているので、工房全体の愛情をたっぷり感じていただけるものだと思っています。どうぞ、なずな工房のジャムをお試し下さいね。

ミ)
ありがとうございました。ミレーでもどんどん皆さんの応援をしていきたいと思っていますので、よろしくお願いしますね。

イチゴ園の後に、なずな工房に寄って、イチゴのヘタを取っているお部屋におじゃましてきました。ヨーヘー君は社長と風子が行くと、「名前は何?」と質問し「早川です」と社長が答えると、「ハヤカワさん、ハヤカワさん、ハヤカワさーん・・・」と名前を連呼。こんなに名前をすぐに覚えて呼んでもらえるなんて、社長も幸せ者!?。春の風が心地よく部屋を吹き抜けて、のーんびりボランテイアさんと一緒にイチゴのヘタ取り。みんな、ありのままで、リラックスして穏やかに過ごしている午後・・・。甘酸っぱいイチゴの香りの包まれて、風子も幸せな一日でした。 

まとめは風子でした。

取材:2004年4月12日

民芸品
施設の方々は民芸品も作っています。

 

干支の紙人形
干支の紙人形です。

 

パン作り
ジャムのほかにパンも作っています。

 

パンを作る施設の方
本格的なパン職人のようでした。

 

摘み取ったイチゴ
イチゴの摘み取りから・・・

 

ジャムのビン
瓶詰めまで。心をこめてお作りします。

  
 
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