種から国産!在来種子でからだに優しい野菜を作る! 千葉県成田市 石井 吉彦さん

<無農薬かつ無肥料>による独自の栽培に取り組み、種からこだわって作物を育てている農事組合法人ナチュラルシードさん。有機農業を足掛かりに無農薬・無肥料による栽培を広めるべく、各地に支部を設立。ミレーには≪有機JAS認定の野菜≫などを多数お届けいただいています。
無肥料による栽培は一見、意外に思えるかもしれませんが、独自の取り組みには食と健康のあり方を考えた、きちんとした理由がありました。ナチュラルシードさんの石井吉彦事務局長にお話を伺いました。

自家採取の種から作物本来の生命力を引き出す

無農薬・無肥料栽培に取り組む際に重要な鍵となるのが種。
ナチュラルシードさんがこだわる種は、「在来種子」と呼ばれるものです。
「在来種子」(ナチュラルシード)とは、農薬や化学肥料を使わず、自分の畑から種をとること(自家採種)を10年以上繰り返してつくった種のこと。
「在来種子」は、長い時間をかけて自家採取を繰り返すうちにその気候風土に適した種になっていくので、この種を使えば、たとえやせた土地でも農薬や化学肥料を使わなくてもしっかり育つようになるのです。

40年以上、無肥料・無農薬栽培で野菜を作り続けている石井さんのご両親の農場。小松菜、玉ねぎ、長ねぎほか多種類を栽培。どの野菜も「まろやかでやさしい味わい」と評判。
有機栽培に取り組む農家を支援し、在来種を広める

ナチュラルシードさんの代表理事を務める池上健治郎さんの畑では、ご家族で里芋の種いもとりに汗を流していました。アスパラは生でかじっても甘みと旨みを感じました。

ナチュラルシードさんは、無農薬・無肥料による栽培を達成するため、その作物自身が持つ生命力を、原種に近い種「在来種子」から最大限に引き出して育てるやり方をめざしています。
「在来種子を使うことと、無肥料による栽培は車の両輪です」と石井さん。
この独自の農法を広める足がかりとしてナチュラルシードさんは、有機農業に取り組む農家や、これから有機農業に取り組もうとする農家の支援・指導に励んでいます。
皆さんにお届けしているナチュラルシードさんのお野菜の一部は、無肥料・無農薬栽培を実現した生産者の方々が栽培したもの。こうした志を抱いた生産者の方々が作った作物は滋味あふれたやさしい味わいを醸し出しています。

「医食同源」につながる野菜作りをめざして

一粒でも、そして一種でも多くの在来種子を育てていくため、ナチュラルシードさんの保冷室にはさまざまな野菜の種が保管されています。
事務局に赴いた際、石井さんは机の前にズラリと野菜の種を並べて「このうち原産地が国産であるものはどれか分かる?」とたずねてきました。ほうれんそうや大根、にんじんなどおなじみの野菜に加え九条大葱、聖護院かぶ、金町小かぶなど聞きなれない名前の野菜も見られます。
驚いたことにこれらの種の原産地は、イタリア、チリ、中国、台湾など・・・。なんと国産はありませんでした。
石井さんはナチュラルシードを設立する前、商社に勤務し野菜の種の開発を依頼したりする事業に携わっていました。
種子の生産はほとんど海外。
「種から安全で安心できる作物を作っていく必要があると痛感したんです」と石井さんは当時を振り返ります。

ナチュラルシードさんは、多品種の野菜の種を保管。在来種子をつくって広めてゆく考えです。

日ごろからバランスのとれた食事をとることで病気にならないようにするという、「医食同源」につながる作物づくりを模索した末、辿り着いたのが在来種による無農薬・無肥料の栽培。
「食事を通した健康づくりや食事療法のあり方を考えると、それぞれの土地に適した種子で育てた作物こそが、食べる人の体に合ったエネルギー源になるはずなんです」と石井さん。
「医師と協力して、無農薬・無肥料で作った野菜などと合わせて有機栽培のものも患者さんに食べていただき、データをとってきました。食事療法によって体調が改善したなどという結果も出ているんですよ」
石井さんの表情に笑顔が浮かびました。

作物づくりの基本は「とことん見守り観察する」

石井さんによると、自家採種を始めて3年でその畑に合う種になり、5年から7年くらいで、各土地に固有の種が固定してくるとのこと。
在来種子を作るには、同じ場所で同じ種類の作物を作り続けるという、通常の栽培方法ではタブーとされる「連作」を当たり前のように行うため、種が純粋になりすぎて作物の生命力が弱るケースも出てきてしまいます。
ナチュラルシードさんではその対策として、1種類の作物について生産者3人が1組になり、ある農家が自家採取に失敗しても、別な農家の種で補充したりする体制を整えています。
こうすることで生産者が安心して有機栽培や無農薬・無肥料栽培に取り組めるようにしているのです。
「無肥料・無農薬による栽培は子育てと同じです。とことん見守っていく必要がある。傍観するのではなく、畑をよく見て、観察するんです」と 石井さんは重ねて強調します。

ナチュラルシードさんの一部生産者の方々は無農薬・無肥料栽培を目指しています。石井さんが持っているのは有機水前寺菜

無農薬・無肥料による農法は、気が遠くなるような手間と時間を要しますが、愛情を持って子育てするような眼差しで育てられた野菜は、とってもまろやかで、後味にもクセはありません。
食した方からは「味がやさしい」といった声も届いています。 生命力あふれる種から育てたナチュラルシードさんの有機JAS認定の野菜をぜひ味わってください。

石井さんのご両親は、千葉県成田市内で40年以上にわたり自家採種による無農薬・無肥料栽培に取り組んでいます。雑木林に囲まれた農地は、生命の気配が濃密に漂い、その場にいるだけで心地よさを感じました。
農場には「成田瑞泉郷やすらぎの里」の看板が掲げられています。その農地には、石井さんはじめご両親の願いが込められているようにみえました。ご両親の畑でとれた野菜は、「アレルギー体質の人も安心して食べられる」そうで、この事実も石井さんが無肥料・無農薬栽培に取り組むきっかけになったそうです。

取材者:松本 一直
年月日:2009年4月8日

 
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