素材が生きたジャム いすみ学園
千葉県の南東部、房総半島の付け根の辺りに位置するいすみ市は、昨年、夷隅町、大原町、岬町の3つが合併してできた新しい市です。風子の住む成田市からは車でおよそ2時間と、同じ千葉県内でもちょっと離れたところにあります。房総半島特有の温暖な気候のおかげで、いすみ市も農業がとても盛んです。いすみ学園は、緑豊かな農村地帯が広がるとてものどかな場所にありました。
千葉県南東部の福祉施設、いすみ学園に行ってきました。
井上秀一さん
いすみ学園に行ってきました。食品加工班担当の井上秀一さんに案内していただきました。



いすみ学園の施設
いすみ学園は自閉症や知的障害などを持った方の施設です。緑豊なところです。

ミレー風子)
こんにちは。初めまして。静かで緑も多く、とてもいい場所ですね。今日は施設の中などいろいろ見学させてくださいね。

井上)
こんにちは。いすみ学園食品加工班担当の井上秀一です。遠い所までご苦労さまでした。

ミ)
まず最初に、いすみ学園の概要について教えていただけますか?

井)
はい。施設の母体は「槇の里」という社会福祉法人で、昭和59年に開所した知的障害者のための入所更正施設です。

ミ)
どのようなことを目的とした施設なのでしょうか?

井)
自閉症や知的障害などを持った成人の方たちが、地域や社会の中で暮らしていけるようにと、自立のための支援を行うことを目的とした施設です。現在20代から60代まで52名の方たちがここで生活をしています。また、障害の程度によって、通所による支援を受ける施設やグループホームなども併設されています。

ミ)
皆さんはどのような生活を送っていらっしゃるのでしょうか?

井)
基本的には個室、または2人一部屋で過ごし、食事や睡眠、入浴、余暇など規則正しい生活を普通にすごせるように支援しています。平日は時間を決めて労働できるよう、様々な班に分かれて作業し、休日には皆さんの個性を生かして楽しめるクラブ活動や余暇活動などを行っています。

ミ)
どのような班があるのでしょうか?

井)
今回、ミレーでお世話になるジャムなどを作っている班は食品加工班といいます。その他、織物などを作る手芸班、野菜を作ったり草刈をしたりする農耕班、道路に花を植える園芸班、廃油を使って石けんを作る石けん班などがあります。外の会社などに作業をしに行く実習班という班もあるんですよ。

ミ)
作業される方々は、割と障害が軽度な方なのですか?

井)
障害の程度にはかなり個人差があるので、障害の重い方は作業ができないことも多いです。でも、少しでもできることはないかと保護者と園の職員が話し合って、支援計画を立て、一緒に生きる喜びを見つけていけたらなあと思っています。

二人部屋
二人部屋をのぞいてみました。明るくきれいな部屋です。

石けんを作る様子
廃油を使って石けんを作っています。

出来上がった石けん
石けんができあがってきました。
ジャムやマーマレードにつかう果物は、素材にこだわっています。
食品加工班
食品加工班の方々の作業の様子。

夏みかんをきざむ
夏みかんを刻んでマーマレードにします。

ミ)
食品加工班ではどのようなものを作っているのですか?

井)
あちらの食品加工棟という作業場で、りんご、みかん、夏みかん、梅、ゆず、ブルーベリー、イチゴなどのジャムやマーマレードを作っています。また、量は少ないのですが、漬物や味噌、ケーキなども作っているんですよ。

ミ)
できあがった加工食品は販売しているのですか?

井)
東京の病院内の販売店や各地の福祉ショップ、地元の直売所などに納めています。学園の直営店としては、県道沿いの農産物直売所の中に福祉ショップ「こすもす庭」というお店があります。実際に販売しているのもここのメンバーなんですよ。

ミ)
ジャムの特徴を教えていただけますか?

井)
素材である果物の味そのものを生かしているので、自然な甘みがあります。もちろん防腐剤などの添加物は一切使わずに全て手作りしています。直売所でもとても人気があって、美味しいと評判なんですよ。

ミ)
材料となる果物は、どのようなものをお使いになられているのですか?

井)
梅は近所の農家さんから、夏みかんは鴨川市の農家さんから、それぞれ無農薬のものを分けていただいてます。鴨川市では、地域を夏みかんの名所にしようと、あちこちに夏みかんの木を植えたので、夏みかんの木がたくさんあるのです。りんごは青森県の契約農家さんから減農薬のものを送っていただいています。

ミ)
無農薬や減農薬の果物をお使いになられていると聞いて安心しました。特にマーマレードは外皮を使うので、無農薬の夏みかんが材料なら安心して食べられますね。

井)
いろいろなジャムを作っていますが、ミレーさんは素材にこだわっているので、梅、りんご、夏みかん、マーマレードの4点をおすすめさせていただきました。

夏みかん
マーマレードは無農薬の夏みかんを使っているので、安心して食べられます。





ジャムを作る様子
ジャムのラベルを貼っています。
素材が生きたジャムとマーマレードです。お召し上がりください。
機織の作業

機織の作業などもありました。少しでも楽しく作業ができるように職員の方々が心がけているようです。

ミ)
今日は皆さんで夏みかんの皮を切る作業をしていらっしゃいましたが、作業は毎日行っているのですか?

井)
はい。基本的に平日の9時から16時頃までは作業の時間にしています。お昼も生活棟の方に帰らず、お弁当を作っていただいて、それぞれの作業場で食べるようにしています。午前と午後に一回ずつお茶の時間もあります。いつも楽しみながら作業をしていますが、どうしても作業をしたくないという方や、気がのらないという方もいます。そういう時は職員が声かけをしながら、少しでも楽しく作業をしていけるように手伝っています。

ミ)
私も学生時代に福祉関係の施設に実習に行ったことがあるのですが、勝手にどこかへ行ってしまう方がいたりして、その度に職員の方が追いかけていたのを覚えています。ここではそういうことはないのでしょうか?

井)
うちの場合、ほとんどそういうことはありません。ここは生活にメリハリがあるというか、日中はなるべく体を動かして作業をし、夜はテレビを見たり、ゲームをしたりという自由時間がたくさんあるからではないかと思います。また、ゆったりとした生活のリズムがあって、静かで緑が多い環境の中で生活していることも関係しているのではないかと思います。

ミ)
体育館やお茶室などもあるし、お庭も広いし、生活棟の中もとても明るく、窓からたくさんの光と風が入ってきて、気持ちのいいお部屋ですね。こういう場所だったら、誰でもゆったりと暮らしていくことができるような気がします。

井)
障害のあるなしに拘らず、人として生まれたからには、健康で楽しく自分の好きなことをして生きていきたいと思うのは当然のことだと思います。人として当たり前のことを、ここで生活する方たちにもしていただけるように、私たちはお手伝いしていきたいと思っています。

ミ)
ここの環境は本当に最高ですね。そして、みなさんが個性を生かして、好きな作業に参加しながら、生活している姿を見せていただけて、とてもよかったです。ミレーのお客様にもいすみ学園のことを知っていただき、少しでも多くの方に、皆さんが作ったジャムを食べていただけたらと思っています。今日はどうもありがとうございました。

昼食

作業場で昼食を済ませるように、お弁当を用意しています。


マーマレード

素材の味が生きています。手作りマーマレードとジャムです。


マーマレード寒天

マーマレードとオレンジジュースを混ぜて、「マーマレード寒天」を作りました。さっぱりデザートはいかがですか。

風子 無農薬の果物で作られた、いすみ学園の手作りジャム。素材の味が生きていてとても美味しかったです。無添加でひとつずつ丁寧に作られています。みなさんもどうぞお召し上がりくださいね!
取材者:川端 えい子(風子)
年月日:2006年9月20日
 
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