プチっと甘み弾ける畑のルビー!さくらんぼ

東京から早川店長の車を走らせること3時間。山梨県西部に位置する南アルプス市にある「アイアンドアイ フルーツ グロワーズ」さんの果樹園に行ってきました。

山梨県南アルプス市の伊東厚さんにお話を伺いました。

ミレー風子)
こんにちは。初めまして。山梨県に行くので寒いのではないかと上着を持ってきたのですが、暑くてびっくりしました。こんなに暑い場所でさくらんぼが収穫できるなんて意外な気がしますが・・・。

伊東厚さん)
この辺りはさくらんぼ栽培の南限と言われているんですよ。今日はちょっと暑すぎるけど、冬には雪も積もります。そんな激しい寒暖の差があるから美味しい果物ができるんですよ。

ミ)
空気はいいし、山々に囲まれて景色もいいし、本当に気持ちのいい場所ですね。さっそくですが、こちらでは主にどんなものをお作りになっているのですか?

伊)
うちは一番多く作っているのが桃、それからぶどう、さくらんぼ、すももなどです。毎年最初にできるのがさくらんぼで、5月末から出荷が始ります。

ミ)
素朴な疑問なのですが、さくらんぼの木って、桜の木とは違うのでしょうか?

伊)
さくらんぼは正式には「桜桃」と言います。桜もさくらんぼもバラ科の木で同じ種類ですが、桜の木に美味しい果実がなるよう品種改良されたものがさくらんぼなんですよ。

ミ)
花の咲いた後、自然に赤い実がなるのですか?

伊)
・・・だったらいいんだけどね。さくらんぼ栽培の大変なところは全て手作業で受粉させていくということなんですよ。

ミ)
えっ?あんなにたくさんの花に手で受粉させるんですか?

伊)
そう。さくらんぼの木は自家受粉しないからね。農場には自然の蜂もいるけど、ほとんどは人工授粉なんですよ。満開になったら、別品種の花粉を一つずつ毛ばたきのようなもので雌花に受粉していくんですよ。

ミ)
それはかなり大変な作業ですね。ところで、さくらんぼのハウスの周囲にはビニールがないんですね。

伊)
さくらんぼは雨にあたると病気になりやすく、水分が多すぎると実が割れてしまうから、雨よけに天井だけビニールで覆っているんです。

伊東厚さんと早川店長
伊東厚さん(左)にさくらんぼ園を案内していただきました。

果樹園の様子
南アルプスの山々に囲まれて、とてものどかな良い場所です。

すもも
まだ青い実ですが、すももがなっていました。

受粉について説明する伊東さん
さくらんぼの受粉は全て手作業で行います。とても大変な作業です。

さくらんぼの雨よけ
さくらんぼは、雨にあたると病気になりやすいため、天井だけ雨よけにビニールで覆っています。
雪解け水とふかふかの土で育ったさくらんぼです。
藁が敷かれた木の根元
乾燥防止のために、木の根元に藁が敷かれています。

ミ)
木の周りにも草が生えていて、地面がふわっとして柔らかい感じがしますね。

ミ)
うちは除草剤も使っていないから、草は草刈機で刈っています。木の根元には乾燥防止のために藁を敷いてあります。

ミ)
除草剤以外の農薬の散布も少ないそうですね。

伊)
農薬は通常の3分の1以下の使用にしています。山梨県から「持続性の高い農業生産法式の導入に関する法律」の規定に基づき認定されたエコファーマーの認証を取得しています。光と土と水という健康の3要素を大切にしながら、農薬に頼らず木を健全に育てていけたらなあと思っているんです。

ミ)
そのためにどんなことを工夫されているのでしょうか?

伊)
まずとても良い水を使っているということですね。南アルプスの雪解け水を川から汲み上げて使っているんですよ。また、化学肥料は使わず堆肥を使い、モミガラや草刈り後の雑草なども利用しています。そして、木と木の間隔をできるだけ広く取り、光合成を積極的に行ってもらうために、剪定は控えめにしています。

ミ)
減農薬で栽培しようとしたきっかけは何かあるのですか?

伊)
学校を卒業していから一旦就農しましたが、父との考えの違いによって一時、就職したんです。そして、ずっと憧れていたアメリカに行こうと農業研修生に志願して、アリゾナ州の農家にステイしながら2年間働きました。それが後の農業に影響を与えたのかもしれません。結局また就農することにしたのですから。

ミ)
向こうでの生活はどうでしたか?

伊)
アメリカの果樹栽培は規模が大きく、いい意味でカルチャーショックを受けましたね~。帰国後、もう一度、自分なりの農業をやってみたいと思うようになったんです。

ミ)
農薬を減らしてから果実自体に味の変化がありましたか?

伊)
例えば桃だったら、ただ甘いだけではなく味に切れ味があるという感じになったかなあ。さくらんぼなんかは実際に糖度も上がりましたね。うちの佐藤錦を糖度計で計ると20~23度くらいありますよ。

ミ)
そんなに甘いさくらんぼが減農薬でできるなんてすごいですね!受粉の後はどんな作業があるのですか?

アメリカの果樹栽培の経験を話す伊東さん
アメリカでの果樹栽培の経験を話してくださいました。

桃の木
伊東さんは他にも桃などの果物も育てています。

伊)
受粉した後、花が実になるのですが、多すぎてもいいさくらんぼにはならないんです。そのため一つのクラスター(花芽)に実が4~5個になるよう摘果します。最初のうちは実の色は緑色なんですよ。それが日に当たりながら少しずつ赤くなっていくので、赤くなったものから収穫していきます。

一生懸命作っていますので、ぜひ食べてみてください。

ミ)
やっぱり赤いさくらんぼの方が美味しいのですか?

伊)
そうですね。木で真っ赤になるまで完熟したものが一番美味しいです。でも、真っ赤なさくらんぼを選びながら、3人で一日中収穫してもやっと100kgなので、収穫にとても時間と手間がかかるんです。一粒が10gだとして、一体、何粒摘んだら100kgになるんだろう~?って感じですかね。

ミ)
しかも軸が取れてしまったら売り物にならないのですから、収穫にはとても気を使いますね。

伊)
ピーク時は一つの品種でもせいぜい2週間ですが、その間は脚立に上ったり降りたり、箱詰めをしたり・・・それが終わっても桃とぶどうが待っていますからね。毎日とにかく大忙しです。

まだ青いさくらんぼ
まだ実が青いさくらんぼです。これからどんどん赤く甘くなります。

完熟したさくらんぼ
さくらんぼは完熟したものが一番美味しいそうです。収穫は手間と時間がかかり、さくらんぼの収穫が終わっても、他の果物が待っていますので、気が抜けません。

ミ)
冬にようやく一段落できるんですね。

伊)
そうですね。でも冬の間は木の剪定をします。余計な枝を払うのですが、これがまた素人にはなかなかできない仕事なので、人に任せるわけにはいかないんです。

ミ)
さくらんぼの栽培はとても手間がかかるということがよくわかりました。これからピークを迎えるので、ますますお忙しくなるかと思いますが、お客様にどのようなことをお伝えしたいですか?

伊)
5月下旬から、アメリカ生まれの高砂の収穫が始ります。これはただ甘いだけでなく適度な酸味もある美味しいさくらんぼです。その後、6月上旬にはさくらんぼの中では最も美味しいと言われている佐藤錦が続きます。農薬をできるだけ使わずに、南アルプスの自然の中で元気に育ったさくらんぼです。美味しさをお届けしたいと思い、一生懸命作っていますので、ぜひ食べてみてください!

川端えい子(風子)

「I&I」のさくらんぼ畑は土がふかふかしていて、とても気持ちがよかったです。近くにはすももやぶどう、桃の果樹園なども広がっていました。南アルプスの山々を見ながら、毎日農作業ができるなんて素敵だなあと思いましたが、果樹栽培は野菜作り以上に大変そうでした。取材の時に青かった実がもうすぐ真っ赤になってミレーに届くことでしょう。皆さんもぜひ召し上がってくださいね!

取材者:川端 えい子(風子)
年月日:2008年5月7日