千葉県香取市 菅谷 晁さん

千葉県香取市でぶどう栽培に情熱を傾けて40年。「これしか生きる道はない」と決意し、ひたすら自分なりに美味なぶどうづくりを追求してきた菅谷晁さん。ミレーには、たいへん好評を博しているデラウェアやスチューベンをお届けいただいています。農薬の使用をぎりぎりに抑え、化学肥料は使わずに生産してきた菅谷さんは「いいものを届けるため味には妥協せず、新しいことに常に挑戦し続ける」との志を持ち、栽培に取り組んでいます。

樹の生命力を存分に生かして結実

菅谷さんは、広さ130アールのぶどう園でデラウェア、スチューベンのほか巨峰、ロザリオビアンコ、ゴルビー、甲斐路とさまざまなぶどうを育てています。
品種を確定する際は、いったん植えてから味を確かめ栽培するかどうか決める、といったことを繰り返します。これも皆さんに美味なぶどうを提供するための試み。
菅谷さんは「とにかく美味しいものを作ろうと自分なりに試行錯誤を重ねてきました」と話します。
菅谷さんが目指す、美味なぶどうづくりへの工夫は、この他にも随所に見られます。
果実に適度な光が当たって味が良くなるよう葉の摘み方に気を配ります。過剰に葉を摘むことはせず、残った葉で十分に光合成をさせ果実が養分を蓄えるようにするやり方。

ちばエコ認証を取得し除草剤を使わず、農薬を最小限に抑えてぶどうづくりに取り組んでいます。

ぶどうの樹そのものの生命力を効率よく引き出して結実させるのです。
「私にできることはぶどうにとって快適な環境をつくり、品質の良いものが実るよう手助けすることです」と話します。
このような思いが実りと味にも表れ、お客さまから「またいただきたい」との声が続々と寄せられているのです。

他と同じ人生では面白くない

丁寧にぶどうを選別し、品定めをする後継者の有希子さん(写真上・左)と妻の久代さん。

菅谷さんが、栽培に着手したころは露地による栽培でした。初めの10年間は収量などは上がらず、他の仕事で生計を支える状態が続きました。
こうした厳しい状況で周囲の人たちは次々と栽培を断念。それでも諦めなかったのは、「生きる道はこれしかないと思ったからできるところまでやってみようとしがみついた」とする強い意思。
荒波のなかをもがきながらも技術向上には余念がなく、ハウス栽培に転換してから収量が安定し経営も軌道に乗ったそうです。
「香取市の周辺はさつま芋の産地だけれど、若いころは他の人たちと同じようなことをやっていたら、他人と同じ人生を歩いてゆく気がして面白みに欠けると思ったんだ。だから、ぶどう栽培にもこだわった」と述懐します。
後継者として奮闘する娘の有希子さんも「ぶどう栽培でなければ後を継がなかった」と菅谷さんに話していたそうです。
菅谷さんのぶどう作りに賭ける真摯な姿を日ごろから見てきたためでしょう。

品種の特製を引き出すよう工夫を重ねる

それぞれの品種の特性を引き出そうと創意工夫を重ねる点にぶどうづくりの奥深さと面白みを感じるという菅谷さん。
お客さまがぶどうを口に含んだ時の笑顔を思い描いて技術に磨きをかけてきました。
「贈ったらたいへん喜ばれました」、「子どもたちも美味しいといってどんどん食べました」・・・。菅谷さんにとっては、こうした声こそが品質を高める推進力。 菅谷さんは言います。
「ぶどうづくりは、一つの作品を創り上げることと同じ。より品質の高いものを作ろうと模索するなかからぶどうの出来、味わいに生産者の個性が出てくる。イメージ通りに仕上がった時は本当にうれしいね」。
このような姿勢で取り組むからこそ、菅谷さんならではの「作品」が仕上がり、それを求めるお客さんも年々、増えているのです。

菅谷さんの「作品」の数々。
努力と工夫が実り、今年も立派に結実しました。

つねに念頭にあるのはぶどう作りのこと

今年は種のあるデラウェアも栽培し、ミレーにお届けいただく予定です。

栽培するうえで労力を費やすのが草刈りと、種なしぶどうなどを作るためのジベレリン処理と呼ばれるもの。
今シーズンはジベレリン処理を施していない「種ありのデラウェア」も生産。種なしデラウェアに比べて房は全般に小ぶりですが、「種の周りに酸味が程よくつき全般に濃い味。甘さや酸味のバランスは種なしデラウェアより上かもしれない」と自信を見せます。ミレーには、この「種ありデラウェア」もお届けいただく予定です。
「ぶどうが好きだから四六時中、栽培のことを考えている。ぶどうを出荷することは、自分の娘をお嫁に出すようなもの。だからこそ皆さんにつねに素晴らしいものを提供したいという思いを強く抱いているんです」と菅谷さん。

今年のように梅雨がはっきりとしている時こそ、作り手の個性が出るそうです。
愛情と信念が込められた菅谷さんのぶどうは、濃厚な甘みに加え程よい酸味を奏でています。皆さんもぜひ、ご賞味ください。


みずみずしさに溢れた、穫れたてのデラウェア

菅谷さんには、収穫時のたいへんお忙しい合間を縫って取材させていただきました。
お話をしているうちに不思議な心地よさを感じると同時に、共振する部分もたくさんありました。ぶどう作りに没頭してきた人生経験に裏打ちされた言葉に感応したからでしょう。
「経験の積み重ねで分かってくる仕事だからね」・・・。
同じような言葉を先日までとびっきりの「びわ」を届けてくださった加藤繁さんからもお聞きしました。
菅谷さんの作品は、この夏も多くの方たちを惹きつけ共感を呼ぶことでしょう。

取材者:松本 一直
年月日:2009年6月30日