千葉県香取市 佐藤 一徳さん

毎年、ミレーで大人気を博している佐藤一徳さんの≪旨い梨≫。
今年も多くのお客さまにお買い求めいただいており、8月から10月まで「幸水」「豊水」「新高」をそれぞれお届けいただきます。「甘くて濃厚な味わい」を醸しだす佐藤さんの「作品」を待っているお客さまは数多くいます。真夏の日射しが照りつけるなか、収穫にいそしむ梨園にお伺いしました。

佐藤さんは梨の栽培歴が25年ほどになるベテラン。
栽培を始めた当初は、梨と酪農の二足のわらじでした。このため農園は「牧場梨園」と名付けられています。なんだか、その名を聞くだけで美味しい梨が育ちそうな気がしますね。
その期待通り、佐藤さんの梨は甘さが際立っているだけではなく、その中に濃厚な旨みが溶け合っています。このことから、ミレーでは佐藤さんの梨を、「旨い梨」と呼んでいます。
口に含むとたっぷりと水気を含んだ果肉から広がる甘みと旨み・・・。この、佐藤さんにしか育てられない「旨い梨」のとりこになるお客さまは数多く、取材させていただいた僕ももちろんその一人です。
「この梨、最高でした。みずみずしくすごく甘くて本当においしかったです。贈り物にも利用させていただいたところ大変喜ばれました」
お客様からは、毎年このようなお喜びの声がたくさん寄せられています。

(写真上)梨の状態を入念に確かめながら収穫していきます。/(写真下)多くのお客さまが心待ちにしている佐藤さんの梨。近年まれにみる甘い梨ができました。

(写真上)出来のいい梨を見ると、思わず表情がほころびます。/(写真下)除草剤を使わず、農薬も極力抑えて栽培に励んでいます。

このような甘みと旨みを引き立たせている梨は、佐藤さん独自の土づくりから生み出されます。
除草剤は一切使わず園内に生い茂る草は緑肥に活用。そして魚のたんぱく質や糠、ぼかしを混ぜたりしてさまざまな方法を模索しながら、土づくりをしています。
「健康な樹を育てて、いい梨を作るには養分を根からじっくり吸わせる必要があるんだ。糠は養分を吸収するのに効果的に働くので使っています。今年は養分を吸収させやすくなると言われている天然鉱物のゼオライトをまいてみました」
と説明します。
ベテランとは言え、毎年新たな工夫を重ね、丹念に土づくりに励む佐藤さん。
今年の「幸水」の出来を聞いてみると・・・
「これまでのなかでも有数の甘さがあります。えぐみもないから味は大変よく、品質には満足しています」とのこと。

ただ収量は、春に受粉がいまひとつだった上に梅雨明け後に天候がすぐれなかったため、昨年に比べて減少しているそうです。
天候などの自然条件によって品質や収量が左右されることは「自然だから仕方がない」としながらも、どんな状況であっても最高の梨を作るため、佐藤さんは常に試行錯誤を繰り返しながら自分のやり方を貫いています。

佐藤さんの梨づくりは、前年の初冬から始まっています。最後の品種「新高」の収穫が終わるのが10月。その翌月の11月から春先まで、延々と剪定作業が続きます。
4月には品質の良い果実を結実させるための「摘花」、続いて最も良質な実だけを残す「摘果」の作業。 どれもが、神経を使う細かな作業です。
これらの一つ一つはすべて手作業。しかもできる限り農薬を抑えて育てているので、防除にも人一倍手間がかかります。
こうしたやり方を貫くのは「環境に負荷をかけたくない」との思いに加え、「こうすれば美味しい梨ができる」という確信と自信があるからこそ。
病気を防ぐため、時には大変な労力を費やします。例えば今年は6月に葉っぱに病気が出たため、病原菌のついた葉を1枚1枚取り除いたとのこと。

(写真上)良質な実を結実させるため「摘花」は重要な作業の一つです。/(写真下)一本ずつ手作業で行い、よく実りそうに見えるものだけを残します。

「葉を取り除かなければ果実に病原菌がついてしまって、梨が割れてしまうんだよ。気が遠くなりそうだったけれどもやるしかなかったんだ」と話します。
このような汗のにじむ努力が、あの甘みと旨みに凝縮されるといえるでしょう。

(写真上)牧場梨園の集荷場。今年は近年にない甘さ抜群の梨ができました。/(写真下)15年ほど前の甘くて濃厚な味を追い求めて、栽培に汗を流します。

佐藤さんが目標としている梨の味は、実は、ご自身が15年ほど前に作った梨の味だといいます。
その濃厚な味が忘れられず、それを自分の育てる梨すべてに再現しようと、毎日こうして精進されているのです。
「ほんとうに甘くて旨みも感じる濃い味だったんだ。あの梨を追い求めて、こうやって自分なりにいろいろ試しているんだ」
理想は、15年前の味を超越する梨。
「いい梨を作るには毎日毎日、しっかり観察する必要がある。そうしないと栽培がおろそかになってしまう。引き続き皆さんにより味のいいものをお届けして行けるよう、努力を続けていきます」
このような地道な姿勢で作業を積み重ねて行くからこそ、毎年確かな「旨い梨」が実るのでしょう。

気になる今年の梨の状態はというと・・・
「今年は近年にない甘さ抜群の梨ができているので楽しんでいただけると思います」と、うれしいコメントをいただきました。
これから出荷される「豊水」「新高」への期待も高まるばかりです。

爽やかな風が流れる梨園に実った、旨みと甘みがたっぷり詰まった梨たち。冷たく冷やしてお召し上がりください。

佐藤さんの梨園には、花が咲き誇っている4月と収穫まっただ中の8月中旬にお伺いしました。 額から汗を滴らせながら梨の出来具合を確認し、黙々と収穫する光景は、なにか一つ一つの梨に願いを込めているように見えました。
牧場梨園にはいつも爽やかな風が流れています。その空気が梨にも映し出されているのかな、と思ったりします。我が家は一家そろって梨が好物ですので、ありがたくいただこうと思います。
取材者:松本 一直
年月日:2009年8月17日