佃煮はご飯の国のしあわせです。

ミレーのある多古町には海がありませんが、千葉は広いので、ちょっと走るともう海水浴のできる海岸がたくさんあります。千葉の内房、ジャンボプールのある町としてもおなじみの富津市に無添加で海苔の佃煮を作っている会社があると聞いて出かけていきました。お話して下さったのはマルヨーのり製造所の平野要助社長です。

 

やっと無添加の海苔の佃煮に出会うことができました。

ミレー早川)
昨日道の駅で、マルヨーさんの海苔の佃煮のビン詰めを見つけてビックリしたんですよ。海苔の佃煮はとてもおいしいくてご飯には欠かせないものなのですが、保存料なんかがたくさん入っているので、今まで中々ミレーで取り扱いたいと思うような商品に出会えなかったのです。だから今回ビンのラベルを見て、すぐにお取引をお願いしたくてお電話してしまいました。

平野要助)
確かに市販されているものは保存料などいろいろ添加物が入っていて、中には黒く着色したものまであるんですよ。だから無添加の海苔の佃煮というのは全国的にも珍しいものになってしまいました。

ミ)
社長さんはどうして無添加の佃煮を作ろうと思ったのですか?

平)
私は富津生まれで15歳の時から底引き漁業の漁師をしていたのです。当時はアナゴや車えびなんかも網で採れたんですよ。それで漁量の少ない冬場は海苔の養殖をしていました。それでいい海苔というものを自分で見てきたから、原料のよしあしが見分けられるんですよね。東京湾の海苔は全国的にもおいしいと評価が高かったので、そのおいしい海苔を使って、原材料がよいのだから、無添加でもおいしい佃煮が作れるんじゃないかと思ったんですよ。

ミ)
本格的にお作りになるまで随分、いろいろ研究されたのでしょうね。

平)
そうです。回りは化学調味料であふれているでしょ。無添加でおいしく作るというのは実は大変なことなんですよ。いい味を素材だけで出すというのは中々難しい。でもいろいろ研究して、やっとおいしい味を出すことができるようになりました。

ミ)
どういう方が買っていらっしゃるのですか?

平)
無添加ということで生協さんなんかと多く取引していますが、私は海苔の佃煮というのは毎日、ご飯と一緒に食べるものだから流行すたりのないものだと思うんですよ。海の町であるこの富津市に来たとき、せっかくおいしい海苔を作っている町なのだから、佃煮もおいしいものを用意して、観光客の方が手みあげに買って行ってくれたらいいなあ・・・と、そんな村おこし的な思いもあって作るようになりました。

 

生産物:海苔の佃煮。
所在地:千葉県富津市

 

早川店長
はるばる富津まで無添加の海苔の佃煮を求めてやってきました。

 

元漁師の平野要助社長
元漁師の平野要助社長。材料の海苔を見る目は確かです。

 

瓶詰め作業の様子
中では瓶詰めの海苔の佃煮を梱包しているところでした。

 

海苔の佃煮
定番の海苔の佃煮です。

 

工場内
工場内を回ってみます。

 

作り手の仕事、有機農業へのこだわり

ミ)
こういう安心して食べられる佃煮をお土産にいただいたりすると、産地の特色も出せるし、ご飯がおいしく食べられるから嬉しくなってしまいますよね。でも海苔は一年中食べているので、案外、いつできるのかということは知られていないと思うのですが・・・。

平)
海苔はね、葉の裏にオスの細胞とメスの細胞があって、それが受精して貝の中にもぐり込んで成熟した胞子になるんです。これを殻胞子といいます。牡蠣ガラの中で夏を過ごし培養されたその胞子を9月10日頃に種付けします。それがだいたい10日で3センチくらいの大きさになり45日後には初摘みができるようになります。この最初の1週間から10日の間に採れた海苔を新海苔と言い、一番柔らかくて風味があると言われています。海苔はその後、年内いっぱい採取できますが、新海苔はほんの少ししか採取できない貴重なものなのです。

ミ)
海苔が受精卵から作られているなんて知りませんでした。ところでどうして晩秋に採れる新海苔がおいしいのですか?

平)
秋の海が肥沃だからだと思います。夏の日差しを受けて暑かった海水が、秋になると水面が冷やされて、水中で対流が起こると言われています。それで上下の水が入れかわるのですが、その時、水面の下にたまっていた栄養分豊かな水が水面に上がってくるのです。その海水がとても栄養豊かで海苔の養殖に適していると言われています。それに18℃くらいの水温というのは一番海苔が活発に活動する温度なのです。

ミ)
富津は海苔の生産高も高いところなのですよね。

平)
もちろんです。ここ富津では千葉県の海苔の70%を作っているんですよ昔からおいしい海苔が作られてきたのは江戸から流れ出る河と海水が上手く混ざりあい、栄養豊かな、とてもいい肥料が含まれた海水になったのです。あんまりね、透明度の高い水だと海苔は栄養失調になってしまっておいしくできないんですよ。

ミ)
でも今は海の水も随分変わったのではないですか?

平)
生活排水が海や川を一番汚している原因になっているのです。昔は合成洗剤なんてなかったですからね。でも石けん運動なども広がって、ひところよりもよくなってきているようですが・・・。

 

 

倉庫のダンボール
倉庫の中はダンボールに入った佃煮だらけでした。

 

倉庫付近
ちょうどお中元シーズンで大忙しだったようです。

 


海苔は海水で洗うんだそうです。真水だと海苔が溶けてしまうそうです。

 


時間がずれていたので、残念ながら海苔を加工する場面は見られませんでした。

 


大鍋です。全て機械でできるわけではなく、手作業に頼るところも多いそうです。

 

おいしい野菜を出荷していきます。乞うご期待です。

ミ)
海苔の佃煮ってどうやって作るのですか?

平)
海苔網から海苔を摘んできて、海水で洗うんですよ。真水だと海苔が溶けてしまうのです。それから機械と手作業で丹念に海苔の中に混ざっていた異物を取り除きます。その後、醤油、みりん、砂糖などを加えて2、3時間じっくり煮込むんです。大きなナベで煮込むのでおいしくふっくらと出来上がります。それからビンに詰めてさらに殺菌してから出荷されるのです。ラベルやフタの紙パッケージなどは手作業で付けています。

ミ)
ずいぶんいろいろな種類の佃煮があるようですが・・・。

平)
まあお客様のご要望にお答えしていろいろ増やしていって、今ではしらす佃煮や茎ワカメ、椎茸の佃煮、あさり佃煮など20種類くらいを作っています。箱入りのものもあるのでご贈答にも喜ばれていますね。

ミ)
ミレーでも減農薬の多古米というお米を販売しているのですが、おいしい海苔の佃煮と一緒にお届けできたら、おいしいご飯がたっぷり食べられていいですね。

平)
海苔の佃煮はここら辺の子供たちは小さいときから食べています。富士山の見える海岸で海苔漁をしながら、この素朴でおいしい浜の味に馴染んできました。毎年新海苔の三杯酢を神棚にお供えしてから海苔漁を始めるという土地柄でもあります。それほど生活と海苔漁は身近にあったのです。子供の頃から馴染んできた飽きることのない浜の味をぜひ皆さんにも食べていただきたいですね。

それぞれの地域に行くと、その土地ならではの暮らし方があって、ここ富津市でも海苔の養殖という身近な仕事が生活の中にありました。同じ千葉でもさすが、ここまで来るともう海の文化になっているのです。元漁師だった社長が自ら原料を選んで作った無添加の海苔の佃煮です。ちょっと他では見つけられないでしょう。
どうぞたっぷりと炊きたてご飯に乗せてお召し上がりくださいね!

取材:2004年6月28日

 


ラベル貼りは手作業で行います。

 


紙パッケージを包む作業は機械ではできません。熟練の技が必要です。

 


ずらりとならんだ佃煮

 


最もポプラ-な「のりの佃煮」です。あったかいご飯にのせて食べると抜群です。

 


ご贈答用に箱詰めもあります。ぜひ素朴でおいしい浜の味をお試しください。